[決定版 健康サポート薬局②]2016年10月REPORT


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 D  調剤報酬改定 

[決定版 健康サポート薬局②]2016年10月REPORT

 

 

このコンテンツでは「健康サポート薬局」が考えられた背景や道筋を復習し、なぜ健康サポート薬局についての情報が重要なのかを考察する。

 

[健康サポート薬局ができるまで]

現在、日本は凄まじい速度で高齢化が進行している。

平成26年9月15日現在、65歳以上の人口が3296万人となり、総人口に占める割合は25.9%に上る。

2025年には、団塊の世代が75歳以上になり、医療や介護の需要はさらに増加するだろう。

 

この問題の対応策が、「地域包括ケアシステム」である。

厚生労働省が進めるこのシステムは、重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるケアシステムである。

 

当然のことながら、薬局はこのシステムの中で役割を与えられている。

調剤はもちろん、在宅、予防などに貢献するための拠点のひとつに位置付けられている。

 

このことは、実は閣議決定されていたのである。

「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において、「薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談、情報提供を行う等、セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進する。」との内容が盛り込まれた。

また、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)において「かかりつけ薬局の推進のため、薬局全体の改革について検討する」とされ、厚生労働省としては、医薬分業の原点に立ち返り、「患者のための薬局ビジョン」を策定した。

 

薬局・薬剤師は、「地域包括ケアシステム」における役割と地域の「健康情報の拠点」における役割を担うことが、国策として考えられていたのだ。

これは、薬局・薬剤師が日本の医療・健康ステージで非常に期待されていたと考えてよい。

 

しかし、ここで大きな問題が浮上する。「分業バッシング」である。

TVや雑誌、ネットでも取り上げられ、規制改革会議では薬局の在り方に関して厳しい指摘もされている。

指摘の内容は、「患者の服薬情報の一元的把握とそれに基づく薬学的管理・指導などの機能が必ずしも発揮できていないなど患者本位の医薬分業になっていない」や「医薬分業に伴う負担に見合うサービスの向上や分業の効果などを実感できていない」である。

診察のあとに調剤薬局に行き、待たされたうえにお金を払うメリットがあるのかと問われたのである。

薬をもらうだけなら、以前のように病医院でもらった方が楽だと。

さらに薬歴未記載問題や無資格者の調剤問題なども、薬局への不信感を高めた。

 

このような背景のなか、「国民がメリットに実感できる医薬分業はどのような形か?」、「地域包括ケアシステムの役割を遂行できる機能とは具体的に何か?」が厚生労働省により取りまとめられたのである。

 

厚生労働省は、この課題に対して「薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究」という研究結果を基に制度や要件を決定した。

このことが非常にわかりやすくまとめられた記事が「アポネットR研究会・最近の話題」というサイトに掲載されている。

2016年6月24日「健康サポート薬局の要件はどのように決められたか(Update)」

制度や要件の根拠となる研究報告なので、是非、一読をオススメする。(ただし、かなりのボリュームである。)

 

ちなみに「薬局の求められる機能とあるべき姿」は、近年の社会情勢の変化を踏まえた望ましい形のかかりつけ薬局を推進するための指針として、平成26年1月にこの研究を基に取りまとめられた。

読まれた方も多いと思うが、薬局・薬剤師に求められる機能に関する基本的な考え方となっている。

 

以上が、健康サポート薬局が考えられた背景と大まかなあらすじである。

言葉足らずの部分は、以下の資料を参考とすることで補完をお願いしたい。

続いて、「健康サポート薬局」についての情報が重要な理由を考察する。

 

☞資料

「健康サポート薬局のあり方について」

健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会

平成27年9月24日

(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/matome.pdf

※「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」の報告書のまとめである。

 

☞資料

患者のための薬局ビジョン

~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~

平成27年10月23日

(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/vision_1.pdf

 

☞サイト

「健康サポート薬局の要件はどのように決められたか(Update)」

アポネットR研究会・最近の話題

2016年06月24日

http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/160605.html

 

☞資料

「薬局の求められる機能とあるべき姿」

平成 25年度厚生労働科学研究費補助金

(医薬品・療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)

薬剤師が担うチーム医療と地域の調査とアウトカムの評価研究

平成 26年1月

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/dl/01-02.pdf

※日本医療薬学会のホームページにも掲載

一般社団法人日本医療薬学会「薬局の求められる機能とあるべき姿」の公表について

http://www.jsphcs.jp/cont/14/0107-1.html

 

 

 

[なぜ、健康サポート薬局についての情報が重要か]

現在、健康サポート薬局であることは、調剤報酬とは無関係である。

しかし、それでもなお、健康サポート薬局に関する情報は非常に重要である。

その理由は、薬局が今後生き残るために必要な情報だからだ。

 

これまでの調剤薬局の展開は、「門前」が前提であった。

調剤薬局の成功は、「立地」「医師との関係性」「病医院の患者数」に大きく左右されてきた。

しかし、「健康サポート薬局」はまったく異なる薬局像を提示している。 

「門前」から「面」への移行を示している。

これは、調剤薬局のビジネスモデルが変更になることを意味する。

 

変化を簡単にまとめると、次のようになる。

「立地から機能へ」    :24時間対応、在宅対応

「薬中心から患者中心へ」 :服薬指導、処方提案

「バラバラから一つへ」    :情報の一元的管理、 残薬解消、重複投薬防止

 

平成28年度つまり、本年度の調剤報酬改定において厚生労働省が説明に使用した資料「平成28年度調剤報酬改定及び 薬剤関連の診療報酬改定の概要」には、そのことが明記してある。

どのようなことが書かれてあるか、抜粋して示す。

 

※ページ数は上記資料の該当ページを示す。

P.6 医薬分業に対する厚生労働省の基本的な考え方

現状は「多くの患者が門前薬局で薬を受け取っている」→今後は「患者はどの医療機関を受診しても、身近なところにあるかかりつけ薬局に行く」

 

P.8 患者本位の医薬分業の実現に向けて

「患者にとってメリットが実感できるかかりつけ薬局を増やし、いわゆる門前薬局からの移行を推進するため、調剤報酬の例えば以下のような評価等の在り方について検討する。」

 

P.14 薬局の処方箋応需の状況

「立地の利便性で患者から選択されるよう、医療機関の周辺の敷地に店舗を設けて特定の医療機関からの処方箋を受け付けることのみで成り立つビジネスモデルを変え、地域包括ケアシステムの中で、多職種と連携してかかりつけ薬剤師が役割を発揮することを目指す姿に転換する必要がある。」

 

これらの文章を読むと、今が正しく調剤薬局の経営戦略の大転換期であることが読み取れる。

これまでの成功の法則はもう役に立たない、大きな転換である。

 

激動の世の中を生き残る方法はいろいろあるが、代表的なのは「進化型生き残り戦略」である。

環境の変化に伴い、その中で生存に適した形に自分を変化させる。

強くなるのではなく、生き残りのために最適な形に変化するのである。

 

調剤薬局はどのような形に変化させればよいか?、そのひとつの解が「健康サポート薬局」である。

2016年のスタートの時点では、要件を満たしても「健康サポート薬局」の看板を出せるだけの制度である。

しかし、将来的にはこの看板が大きなメリットになることは、ほとんどの人が予測しているだろう。

 

まずは、健康サポート薬局の要件をしっかり読み、自分の薬局が対応できるかどうかを確認するべきである。

薬剤師は、健康サポート薬局機能とかかりつけ薬局機能の中から、自分の勉強テーマを選択し、業務に活用できるように実力をつけることが肝要である。

必須の研修は皆が受けるのだから、一流のスペシャリストを目指すなら、さらなる自己研鑚が必要である。

プラスアルファの実力と言うと「各種認定薬剤師」「専門薬剤師」の取得が一般的だが、現場で実際に必要な勉強を自分ですることも大切である。

たとえば、「認知症」は、健康サポート薬局を目指さなくとも将来的に絶対に必要なテーマである。

薬物治療に加え、ケアの勉強をしておけば、「在宅」にも役に立つだろう。

「健康食品・食品」についても、地域住民の健康維持という目的があるなら、「栄養学」を一緒に学ぶことが合理的である。

肩書に関係ない真の実力は、現場に必要な知識の勉強で身につく。

この努力があなたを一流にし、生き残る薬剤師に成長させるのである。

 

ちなみに変化が迫られているのは、中小規模の薬局だけではない。

大規模なチェーン調剤やドラッグストアも同様である。

厚生労働省は医薬分業の原点に立ち返り、57,000の薬局を患者本位のかかりつけ薬局に再編することを進めている。

大規模薬局も、大掛かりな業務の方向転換や研修体制の構築が必要になるのは言うまでもない。

 

少し先の未来では、ICT やロボット技術の発展により、ピッキングから監査までの調剤の過程の一部は自動化される可能性も十分ある。

薬剤師の仕事は、対人業務を中心としたものにシフトしていくのは必然である。

 

D対物業務・対人業務

※ゆえに「専門性+コミュニケーション能力の向上」が必要とされる。

 

大きな時代のうねりを幸と感じるか、不幸と受け取るかは、あなた次第である。

ただどちらにしても、今年だけは自分の薬局の将来を考えるべき年と言ってよいだろう。

自分の理想とする薬局・薬剤師像を描き、来るべき日本の将来を分析し、厚生労働省の考えを確認したうえで、これらのバランスを考える。

悩み、妥協、アイデアが混ざり、具体的な経営戦略が出来ていく。

そのとき、健康サポート薬局の情報は必ず知っておくべきなのである。

 

☞資料

「平成28年度調剤報酬改定及び 薬剤関連の診療報酬改定の概要」

厚生労働省保険局医療課

(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000116338.pdf

 

 

 

[その他の資料・情報一覧]

これまでに紹介した資料を補完する情報を挙げておきたい。

疑問や確認の際に役立つ資料である。

 

☞資料

「施行通知」薬生発0212第5号

平成28年2 月12日

http://www.nichiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/07/20160719-2.pdf

※健康サポート薬局の業務や制度についての厚生労働省からの通知

届出に関する基準の確認などに

 

☞資料

「健康サポート薬局 Q&A(制度関連)」

日本薬剤師会作成

平成28 年8 月4 日

http://www.nichiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/07/20160719-3.pdf

※健康サポート薬局に関する主な照会事項をまとめたもの

厚生労働省の資料を読んで、疑問が生じたときなどに

 

☞資料

「健康サポート薬局研修 研修項目(詳細)」

http://www.nichiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/07/koumoku.pdf

※研修の項目を一覧で詳細にまとめたもの

 

 

以上

 

 

 

D 調剤報酬改定 ナビゲーション

[調剤報酬改定 前口上]

[調剤報酬改定 対応編]

[調剤報酬改定2016 情報編]

平成28年度診療報酬改定の基本方針のまとめ

[社会保障2]28年度診療報酬改定 審議資料(財務省)のまとめ

調剤報酬② [中央社会保険医療協議会の議事録や会議資料]  第317回 2015年12月4日(平成27年12月4日) 1 調剤報酬(その2)についてのまとめ

[患者のための薬局ビジョン]~「門前」から「かかりつけ」そして「地域」へ~のまとめ

調剤報酬改定2016 情報編 速報版「個別改定項目」

[決定版 健康サポート薬局①]2016年10月REPORT

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