負けるな!管理薬剤師シリーズ[マナー・接遇 ユニバーサルサービス]


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負けるな!管理薬剤師シリーズ[マナー・接遇 ユニバーサルサービス]

 

 

 

このコンテンツでは、ユニバーサルサービスについて考察する。

具体的には、「いろいろなタイプの患者さんが来局されたときにどのように注意すべきか?」ということである。

調剤薬局では、いろいろな患者さんが来局されるが、たとえば、高齢者と妊婦では、注意するべきポイントは異なる。

そのため、患者さんのタイプ別に注意事項を整理した。

あなたの薬局のユニバーサルサービスを考えるヒントになれば幸いである。

 

 

 

[視覚障害]

・点字

視覚障害者の方とのコミュニケーションといえば、点字が思い浮かぶ。

しかし、点字ができる人は、視覚障害者の約1割であることを知っておこう。

 

・弱視

視覚障害者の70%以上が弱視である。

弱視とは、一般的に両眼の矯正視力が0.3未満で、視覚による学習や日常生活におけるさまざまな行動ができる状態である。

 

・ルーペ

このような患者さんのために、薬局にルーペを置く場合、倍率に注意する。

普通のルーペは2~3倍が多いのだが、弱視の場合5~20倍を使うことが多いからだ。

 

・掲示板・案内板

また、掲示板や案内板の重要な情報は目の高さ以上に設置してはいけない。

弱視の人は、目を近づけてみるためだ。

 

・視覚障害者への指示

「あちら」「こちら」という指示語は、視覚障害者には禁物である。

「30cm手前」「2歩下がったところ」のように指示する。

また、「クロックポジション」という視覚障害者にどこに何があるかを時計の短針にたとえて知らせる方法もある。

Cクロックポジション

 

 

・点字ブロック

その他、日頃、薬局の近くの点字ブロックの上に物が置かれていないかを確認するのも大切な心配りである。

 

・紙幣の識別

2003年以降に発行された紙幣には、立体印刷の識別マークがつけられていて、区別できる。

 

・トイレのサポート

全盲の患者さんがトイレを使用する場合、患者さんと同性の人がサポートする。

和式か洋式か水の流し方、便器の向き、トイレットペーパーや鍵の位置を説明する。

流すための水栓レバー、洗面台の位置、温水と冷水の蛇口などは、実際に手を導いて触ってもらう。

終了するまでサポートする人は、外で待機する。

患者さんには、「外にいますので、何かありましたらお声掛けください。」とひと言いっておくのが親切である。

 

 

 

[聴覚障害]

・難聴の分類

難聴は、聴覚器官の障害である伝音声と神経や脳に原因がある観音性に大別できる。

高齢者に多い老人性の難聴は、観音性である。

 

・補聴器

ここで、注意したいのは観音性難聴は、補聴器ではうまく聞こえないケースがあるということ。

(伝音声の場合は、補聴器で改善することが多い。)

また、補聴器は周囲の音も増幅することを知っておく。

にぎやかな場所では、聞き取りにくいのである。

 

・手話

聴覚障害者とのコミュニケーションでは、手話が思い浮かぶが、聴覚障害者のなかで手話のできる人は、約2割といわれている。

(ちなみに手話の習得は、かなり難しいらしい。)

 

・読唇術の際の注意

読唇法を使う患者さんにコミュニケーションをとる場合、マスクを外すこと。

(特に冬場に忘れることが多い。)

 

・お会計のとき

レジスターが合計金額を患者さん側に表示しないタイプの場合、電卓を使って請求金額をお知らせする。

 

 

 

[四肢(両手・両足)や体幹(胴体)に運動機能障害があるケース]

・原因

事故やけがによる脊髄損傷あるいは、脳血管障害、リウマチ、脳性麻痺などにより、運動機能が障害された場合である。

 

・車椅子の方への介助

車椅子を介助する場合は、まず患者さんの足先がどうなっているかを確認する。

車椅子を動かすときは、乗っている人に「押します」と声をかけてから動かす。

 

・杖

杖の適切な長さは、床から手首までを目安とするとよい。

杖を使っている患者さんに注意するのは、雨(雪)が降ったときである。

もちろん、床や玄関が滑りやすくなっていないかを注意する。

 

・脳卒中後遺症の方へのサポート

脳卒中後遺症の患者さんをサポートする場合、サポートする人は麻痺側に立つのが基本。

(転倒するのは、麻痺を起している側だからである。)

階段を上がるときは、麻痺側に立って腰を支え、先に1つ上の段に足を置く。次にお客様の健康な方の足をその段にあげていただき、麻痺した足を同じ段に上げるようにする。

階段を下がるときは、お客様より先に一段下に足を下ろし、上がるときとは反対に、麻痺した足をその段に下ろす。

次に健康な方の足を下ろす。

 

 

 

[高齢者]

高齢になると、体の機能が低下する。それらの代表的なパターンを示す。

・記憶力や判断力の低下から、決断に時間がかかる。

→ゆっくりコミュニケーションを取る。

 

・老眼や白内障などにより、小さな字が見えにくくなる。

→薬情や薬袋の文字が読めるかを確認する。必要な部分がわかるようにサポートする。

(服用時点や薬局の電話番号など)

 

・水晶体の黄色化により、茶系統や近似色(青と緑など)が識別しにくくなる。

→複数の色を強調や識別で使用する場合、同系色の色や茶系統を避ける。

 

・高い音を中心に音の聞こえが悪くなる。

→やや低めの声でゆっくり、はっきり話す。

 

 

 

[認知症]

認知症の人は、記憶障害により、会話や状況に矛盾が生じることが多い。

このとき、あきらかに間違っていても、頭から否定してはいけない。

認知機能の低下で記憶は障害されるが、最後まで感情は残ると言われているからだ。

プライドを傷つけないように配慮することが大切である。

 

 

 

[妊婦]

まず、注意するのは階段、段差である。

お腹が大きいとしゃがんだり、身をかがめたりの動作がつらい。物を落としたら、即、サポートしよう。

長い間立っていたり、同じ姿勢をとることにも注意したい。待合が混雑していた場合、対応したい。

 

 

 

[てんかん発作]

舌をかまないように、口にハンカチを入れてはいけない。喉に詰まらせて窒息する場合があるためだ。

また、発作の起きている間に、お客様の体を揺すったり、水を飲ませるなどもしてはいけない。

てんかんの発作のほとんどは、1分前後でおさまることが多い。

救急車を呼ぶのは、発作が10分以上続いた場合や意識が戻らないうちに次の発作が起きた場合である。

 

 

 

[ペースメーカーを利用している人]

薬局の待合室では、原則携帯禁止。

 

 

 

以上、タイプ別に注意したいポイントを説明した。

薬局には、あらゆるタイプの患者さんが来客される可能性があり、すべての患者さんに安心して薬物治療を受けていただくよう努力しなければならない。

特に「視覚障害」「聴覚障害」「高齢者」「認知症」などの患者さんは、将来的に確実に増大するであろう。

その意味でもユニバーサルサービスは、調剤薬局にとって重要な課題なのである。

 

 

 

[参考資料]

・接客・接遇のためのユニバーサルサービス基本テキスト

紀薫子著(日本能率協会マネジメントセンター)

 

・公共サービス窓口配慮マニュアル

(内閣府)公共サービス適切対応推進チーム編

http://www8cao.go.jp/shougai/manual.html

 

・「障害のある方への接遇マニュアル」改訂版

東京都心身障害者福祉センター

 

 

以上

 

 

 

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