[薬剤師と法律]①法律は変化していく


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[薬剤師と法律]①法律は変化していく

 

 

このコンテンツは、薬剤師とその業務に関する法律について考察する。

内容は、次の3部から構成されている。

 

①法律は変化していく

②薬剤師の法的責任

③対策

 

①では、薬剤師に関する法律とその変遷について紹介する。

薬事関連法規が変化するということは、薬剤師の社会的な責務が変化することに等しい。

②では、薬剤師の法的責任について紹介する。

③では、調剤過誤を防ぐために何ができるかを考えたい。

 

 

 

[①法律は変化していく]

医学・薬学は、日々進歩している。

人口動態や社会構造も時代とともに移り変わる。

それに伴い医療や介護、福祉などの法律や制度も変化していく。

 

薬剤師の職務は、時代とともに変化し、「薬を間違えずに用意する。」だけの時代は、すでに過去のモノになった。

職域が広がり、社会貢献の機会が増えるとともに、その責任も重くなってくる。

それに伴い法律も当然変わる。

自分を法的に守るためにも、まず薬事関係法規を理解しなければならない。

 

まず、薬剤師のあなたに質問したい。

あなたは、現在の「調剤」の概念を説明できるだろうか?

(恥ずかしながら、私はできませんでした。)

正解は、

「調剤の概念とは、薬剤師が専門性を活かして、診断に基づいて指示された薬物療法を患者に対して個別最適化を行い実施することをいう。また、患者に薬剤を交付した後も、その後の経過の観察や結果の確認を行い、薬物療法の評価と問題を把握し、医師や患者にその内容を伝達することまでを含む。」

「調剤指針」第13改訂より引用

 

これは、処方せんの内容を間違えずに用意できました、とか、薬の飲み方や注意事項をキチンと説明しました、というだけでは職務として不十分であることを示している。その患者さんにもっとも適した薬剤の選択から投薬後の管理までを含むのである。

実は、このことは服薬指導をめぐる過失に関する判例の変化と重なっている。

最近の判例は、服薬指導に関する注意義務の中心を、薬剤の交付時の「説明」から、薬剤の使用時の経過観察における「薬害防止」に移行させているのである。つまり、薬を患者さんに渡すときにどんなに詳しく服薬指導をしたとしても、それだけでは法的に不十分なのだ。

一昔前は、薬剤の交付時の「説明」に重きが置かれていた。

現在は、わかりやすい説明に加えて、「治療効果と有害事象のトレース」、「服用状況の把握ならびに問題解決の提案」などが含まれている。

薬剤師の法律は職責とイコールの関係なのである。

 

次に、「服薬指導」について考える。

2014年に、薬剤師法(25条の2、情報の提供及び指導)が改正された。

「薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。」

※薬剤師法は「e‐GOV 電子政府の総合窓口」より引用

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO145.html

 

これまでは、「情報提供」だけだったのが、「必要な薬学的知見に基づく指導」へ変更になったのだ。

これも、先ほどの調剤の概念と同じく、「薬剤交付時の説明」、「薬情の添付」では不十分であると考えるべきである。

 

副作用を例にとって、患者さんへの説明を考えてみよう。

添付文書に掲載されている副作用をすべて機械的に説明する薬剤師はいない。(薬によって異なるが。)

一般的な副作用の説明は、発生頻度、発生時期、重篤度、作用機序を考慮して説明されなければならない。

この内容をまとめて、患者さんの性格を考慮し、その人にわかりやすく説明するのである。

説明するのは、副作用の項目だけでは不十分であり、最も大切な前駆症状、副作用発生時の対処法まで説明しなければならない。

この説明も、当然ながら、患者さんの性格や住環境、同居人の有無などによって異なる。

つまり、副作用の説明とは、一律に情報を提供するような業務ではなく、個別の対人業務なのである。

知らせるだけでなく、副作用の発生を減らしたり、または発生した副作用を軽度に抑える対処を患者別に考え、実行することが大切なのだ。

そのためには、来局時のトレースも重要である。体調の変化や軽度の副作用前駆症状が発現していないかを確認する。

ここまでやって初めて「調剤」であり、「服薬指導」なのである。

副作用を例にしたが、その他の薬剤の説明についても同様である。

 

次は、薬剤師の法的責任について考える。

現代では、医事紛争・医療訴訟が急増している。

今後は、薬局・薬剤師においても増加すると思われる。

あなたが、地雷を踏まないように注意するべきヒントがあるはずだ。

 

 

 

[②法的責任]へ続く

 

 

 

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