[認知症PLUS]⑤薬局でできること


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[認知症PLUS]⑤薬局でできること

 

 

認知症で苦しむ人に薬局でできることは何だろう?

このコンテンツでは、その答えを考察する。

 

認知症で苦しむ患者さんとそのご家族に薬局・薬剤師が貢献できることは、大きく2つに分けることができる。

それは、「薬に関すること」「情報に関すること」である。

 

[薬に関すること]

認知症で問題になるのは、患者さんの認知機能が低下することによって服用状況が悪化することである。

「薬を飲んだことを忘れる」「自分がなぜ薬を飲むかがわからなくなる」ことにより、飲み忘れや飲み過ぎの回数が増え、薬効に影響を及ぼす。

この問題の対策としては、「薬を飲みやすくすること」と「第三者へ協力をお願いすること」が大きな2つの柱である。

 

<薬を飲みやすくする>

服用状況を改善するには、必要最小限で最も簡単な処方にすることと薬の飲み忘れを防ぐための工夫をすることが重要である。

 

①薬の服用をできるだけシンプルにする。

シンプルという意味は、できるだけ少ない薬剤数(種類と量)、用法にするという意味である。

そのためには、患者さんの服用している薬剤をすべて把握するのがスタートである。

そのうえで、治療上問題が生じない範囲で、シンプルにできないかをチェックする。

具体的には

・徐放製剤があるのに、使われていない場合

・配合剤への変更が可能

・錠数(カプセル)を少なくできる別の規格がある(例:20㎎錠があるのに10㎎錠が2錠で処方されているなど)

・服用時点をそろえる(例:1日1回の薬2種類が朝と夕に分かれている場合など)

 

②服薬介助

薬を飲みやすくする工夫はいろいろあるが、ここでは認知症で最も問題になる飲み忘れを防ぐための工夫を考察する。

まず、「飲み忘れを防ぐための工夫」を挙げてみる。

・一包化

・お薬カレンダー

・服薬ボックス

・日めくりの活用

・他職種(もしくはご家族)による服薬介助

 

状況に応じてこれらの工夫を実施し、効果不十分の場合は複数の工夫を組み合わせることを考えると良い。

たとえば、一包化したら、一包ごとに切り離し、患者さんが見分けやすいように加工する。

(色を付ける、日付を入れる、「朝食後」と大きく記入するなど)

これをカレンダーや日めくりに貼付する。

日付を入れることは、服用状況を確認する上でも、大変便利である。

 

服用状況が悪い場合は、まず服用状況の実態を把握することである。

具体的には、飲み忘れが頻発する服用時点はいつか、特異的に飲まれていない薬はあるか、患者さんの生活環境が変化したかなどである。

たとえば、昼食後の薬が飲み忘れが多いだとか、安定剤と睡眠導入剤の区別がつかずに飲み方をまちがえていたなどである。

足に障害がある場合には、薬の場所についても確認しておきたい。

たとえば、日めくりの活用は、日めくりが薬を飲むときに手の届く範囲内になければ、逆効果になりかねない。

患者さんの生活環境を確認しておくことは、大変重要である。

また、患者さんご本人への聞き取りで注意するべき点がある。

認知症の患者さんは、医療関係者には一見正常な対応をすることが多いことである。

ご本人に悪気はないのだが、服用状況をお聞きしたときに全然薬が飲めていない場合でも「ちゃんと飲めてますよ」とにっこり笑って答えてくるのだ。

なので、必ず家族・ケアのスタッフに話を聞き、残薬で服用状況がわかるようにしておくことが必要である。

 

<第三者への協力をお願いする>

患者さんの認知機能が低下した場合には、どうしても第三者の協力が必要になる。

当然ながら、家族や介護者がいるときに、薬を服用できないかを考える。

そのためには、処方しているすべての薬の用法・用量を把握することと協力いただける第三者の行動パターンを把握することが必要である。

服用しているすべての薬剤を確認する。(ここで、お薬手帳を一冊にまとめよう。)

同居している家族の構成、同居している人の生活リズム、訪問介護・訪問看護のパターンなどの情報を入手する。

独居の場合、ご近所さんや友人なども把握しておきたい。

また、多くの方に協力いただける場合は、キーマンを探し緊急連絡先などを聞いておくとよい。

 

患者さんの認知機能が低下しても、薬を飲むのは患者さんである。

あくまでも、患者さんには敬意を持って、服薬指導を行う。

患者さんご本人が、薬を飲むことに納得している場合は、第三者の介助も非常に楽になるはずである。

そのためには、患者さんが薬を飲まなければならない理由を必要な時に何度でも、わかりやすく説明する。

アルツハイマー型認知症では、近時記憶が障害されるので、同じ質問を何度もいただくことがあるだろう。

その都度、服薬指導を行う。

説明は、認知機能障害により複雑なことが理解しにくい状況なので、できるだけシンプルに説明することが必要である。

ゆっくり、短く、簡単な言葉(医療用語、専門用語はできるだけ使わない)で行う。

ちなみに、薬局で初めて服薬指導するときには、主たる介護者(服用を介助いただける方)にも必ず説明を聞いていただく。

 

これらの支援を行ううえで、薬剤師がするべきことを整理する。

 

・患者さんに関する情報をできるだけ入手する

(現在の治療の状況、同居している人、介護の状況など)

※薬の服用を介助していただける人は誰か。また、その人はいつ手伝っていただけるのか。

 

・服用しているすべて薬剤の情報を確認する

(用法用量の確認、適正な剤型の確認など。もちろん、服用薬剤数を減らす、服用回数・服用量を減らす、一包化にするなどを考慮するためである。)

※一包化が可能な薬剤かどうかを確認する。(安定性など)

 

・現在の服用状況を把握しているか。

(服用に問題がある場合、患者さんだけでなく家族・介護者からも情報を入手する。また、生活環境を自分で確認する。)

 

・できるだけ簡単にわかりやすく説明するように工夫する

(どうせ、患者さんには説明してもすぐ忘れると思っていないか)

 

以上、薬に関して貢献できることを整理した。

あなたの業務の確認に役立てば幸いである。

 

 

 

[情報に関すること]

認知症のケアのポイントは2つある。

「社会資源を有効活用し、他職種が連携して負担を分担させ、地域でサポートしていく」ことと「介護者の日々の介護を楽にする」ことである。

薬局は、これらのポイントを最大化するようにサポートすることが、効果的な支援になる。

とりわけ、社会資源を効率的に利用することは最重要テーマだが、これは情報が最大のカギと言ってよい。

ここでは、薬局・薬剤師が認知症の患者さんやご家族に対して提供する情報のうち、薬以外の内容を考察する。

 

なお、薬局で配備しておくと有用な情報はこの章の最後「情報提供のための資料」にまとめたので、参考にしていただきたい。

 

1)介護保険の概要

繰り返すが、在宅で認知症の治療・ケアを行う際、社会的な制度やサービスの利用は鉄則といってよい。

しかし、高齢者だけの世帯の場合、介護保険の利用を思いつかなかったり、利用しようとしてもどうしたら情報が集められるのかが分からないケースがある。

そもそも一般の人で、どのような人がどのような公的サービスを受けることができるかをすべて把握している人は少ないだろう。

また、介護保険という言葉は聞いたことがあり、制度自体があることは知っているのだが、具体的な手続き方法を知らない人も多い。

 

薬局・薬剤師は、このような人のために大きく役に立つことができる。

具体的には、制度の概要、手続き窓口とその連絡先などの情報を提供することである。

まさしく、患者さんとそのご家族のための「情報ステーション」を目指すのである。

 

それでは、介護保険の手続の大まかな流れを30秒で説明できるようにまとめてみよう。

 

介護保険は、本人(家族)の申請によってはじめて保険給付を受けることができる。

具体的には以下のように手続を行う。

 

①要介護認定を申請する

住民票のある市区町村の窓口(介護保険課)に申請する。

※本人ができない場合、家族が代理で申請できる。

<アドバイス>

この時に「介護保険被保険者証」を添えて提出するのだが、意外にこの保険証を失くしている人が多い。

日頃から、保険証をわかりやすい場所に保管するようにアドバイスしよう。

 

②訪問調査

申請を行うと、介護認定のために市区町村の職員が自宅を訪問して聞き取り調査を行なう。

<アドバイス>

これは、職員が認知症の患者さん本人に面接するのだが、このときに本人ができないことでも「できますよ」と答えてしまう場合がある。

介護認定を正確に認定してもらうためにも、家族はできるだけ日頃の状態を記録しておくとよい。

患者さんが面接時に日頃とは異なる対応をしている場合は、本人に内緒で調査員に伝える工夫が必要である。

 

③主治医意見書

②と並行して、患者さんご本人を診ている主治医に心身の状態について意見書を作成してもらう。

 

この②と③に基づいて介護認定が行われる。

判定は、「自立(非該当)」「要支援1・2」「要介護1~5」に分かれており、介護度に応じたサービスが受けられる。

具体的なサービスのプランは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が作成し、手続きや予約をしてくれる。

介護保険は介護度によって受けられるサービスの範囲が決まっており、これに患者さん・ご家族の希望やニーズを勘案して、ケアサービスが作成される。

ちなみに、費用は使ったサービスに応じて自己負担分を支払う。

具体的なサービスの種類は、この章の終わりに「情報提供のための資料」にまとめておいたので参考にしていただきたい。

 

 

2)認知症の初診時にまとめておくとよい情報

認知症の中には、早期に治療すれば完治が期待できるものがある。

ゆえに、「早期受診・早期診断」が重要である。

私も何人ものご家族から、認知症の診察について相談をいただいた。

そのときに、提供してほしい情報がこれである。これをまとめていくと、医師も助かり、何より診察時間が短縮される。

 

・家族歴:同居家族、子供世帯の住所など

・生活歴:どこで生まれ育ったか、学歴、職歴

・既往歴:いままでにかかった大きな病気やケガについて

・現在の治療状況:治療中の病気、通院している医療機関、服用中の薬剤

・主訴と現病歴:本日はどんな症状で来院したか、いつ始まったか、これまでにどのように変化したか

 

 

3)認知症の介護者をサポートする地域の取り組み

開催状況は地域によって差があるが、意外と知られていないことが多い情報である。

患者さんやご家族のお声掛けに利用すると良い。

 

・認知症カフェ

認知症のご本人や家族、専門職、地域住民などが気軽に集い、相談や情報交換ができるように設定されたスペースである。

本物のカフェや喫茶店の場合もあるし、有料老人ホームのホールやお寺の一画などを利用することもある。

安い参加料(数百円)でお茶やお菓子を用意したり、ちょっとしたイベントを企画し、参加しやすい工夫をしている場合も多い。

「孤独感の解消」「(周辺)症状の軽減」を目的とした取り組みである。

認知症の患者さんのつながり、介護者のストレス解消に利用するのには良い手である。

このような案内は、地域の新聞、広報に掲載されていることが多い。

 

・認知症高齢者を介護する家族教室

いろいろな企画があるが、対象は認知症高齢者を介護している家族で少人数(20人前後)のケースが多い。

内容は認知症の基礎知識、活用できるサービス、認知症の方への対応などである。

初めての認知症のケアをすることになった場合には、大変勉強になる。

この企画も地域の新聞、広報に掲載されているが、主体は地域包括支援センター(いきいき支援センター)である場合が多い。

 

[その他の超貴重な情報]

難易度は高いが、あなたの薬局で入手できれば、絶対に価値のある情報を挙げてみよう。

 

・評判の良い認知症の専門医療機関または医師

・優秀なケアマネジャー

・入居者の評価が高い介護施設

・成年後見制度が相談できる信頼できる司法関係者

などである。

これらの情報の評価・信頼性については難しいことはわかっている。

ある介護施設がAさんにはよい印象であってもBさんにはよくない印象であることはザラにある。

何がよいかどうかの指標も人によってそれぞれである。

また、たとえば評判の良い医療関係者が判明したとしても、その人に担当してもらえるかどうかは希望通りにい

かない場合もある。

 

しかし、それでも評判の良い医療機関、施設、スタッフがわかったら、情報はストックしておくべきである。

(その情報を入手したとき、何が良かったのかは必ず聞いておくことが重要。)

患者さんのご家族や医療連携しているスタッフ、薬剤師会の会合などでまれに情報が拾えることがあるが、その場合は絶対に記録しておこう。

患者さんやそのご家族が、少しでも評判の良いところへお世話になりたいと思うのは人情である。

そして実際に、在宅で評判の調剤薬局に口コミで依頼が殺到しているのを見ると、なるほどと思うのである。

 

 

 

[おまけ]話を聞くということ

介護者の中には、いろいろな人がいる。

ひとりで介護を抱え込み、心身共に疲れている人も多い。

このような人に薬剤師ができることは、笑顔で声をかけることである。

誰にも相談できず、不満やグチが言えなかった介護者の悩みを聞くだけでも、立派なサポートになると考えよう。

話の内容によっては、介護者の役に立つ情報を提供することも可能である。

たとえば、「介護支え合い電話相談」(社会法人 浴風会)という相談窓口がある。

ここは、介護経験があり専門的スキルを積んだ相談員が、介護にあたるご家族の悩みを聞き、介護保険の情報提供や解決の糸口を探す手助けをしてくれる。

もちろん相談は無料であり、秘密は厳守されるので、安心して連絡できる窓口のひとつである。

自分の専門外の悩みであっても、相談窓口を紹介することで貢献することができるのである。

認知症のケアは、社会資源を有効に活用し、他職種が連携してみんなで負担を分担し、地域でサポートすることが基本戦略である。

ということは、薬局・薬剤師は、他職種との連携、社会資源の種類、サポートの情報を整備しておくことが重要なのである。

 

 

 

[情報提供のための資料]

①介護保険で受けることができるサービス

介護保険のサービスは、介護度と利用者の希望やニーズ、ケアの環境などを勘案してケアマネジャーが作成するのだが、現在では非常に充実した内容になっている。

これらの内容全部を、薬剤師のあなたが暗記する必要はもちろんない。

たとえば、あなたが認知症の介護に関する相談を受けたときには、専門家か相談窓口を紹介することが最も多い対応だからである。

しかし、記憶する必要はなくとも、一度は目を通しておきたい。

特に、高齢者の患者さんが多い薬局や在宅をしている薬局では、勉強しておくとメリットが大きい。

介護関連のスタッフと話すとき、「老健」や「特養」は普通に使われる。

最近、患者さんからよく質問されるのが、新聞やTVなどでよく取り上げられている「サ高住」である。

(非常に恥ずかしい話だが、私は「介護付き有料老人ホーム」と「サ高住」の違いがわからなかった。)

しかし、なにより介護保険制度の概要や改正内容を理解する上で必須だからである。

 

介護のサービスは、大きく分けて【家庭で受けるサービス】、【施設などに出かけて受けるサービス】、【施設など

で生活しながら受けるサービス】の3つに分類される。それぞれのサービスの内容を簡単に紹介する。

 

【家庭で受けるサービス】

<訪問介護>

ホームヘルパーが要介護者の居宅を訪問し、必要な日常生活上の世話を行う。

(入浴、排泄、食事、調理、洗濯、掃除など)

※訪問入浴介護

入浴車により居宅を訪問し、入浴の介護を行う。

 

<訪問看護>(主治医の指示により)

病院、診療所または訪問看護ステーションの看護師が居宅を訪問し、療養上の世話または必要な診療の補助を行う。

 

<訪問リハビリテーション>(主治医の指示により)

病院、診療所または介護老人保健施設の理学療法士または作業療法士が居宅を訪問し、心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために必要なリハビリを行う。

 

<居宅療養管理指導>

医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養管理士などが、通院困難な利用者の心身の状況や環境などを踏まえ、指導や助言を行う。

 

<福祉用具貸与>

在宅の要介護者について福祉用具の貸与を行う。

 

<特定福祉用具販売>

福祉用具のうち、入浴や排泄のための福祉用具その他の厚生労働大臣が定める福祉用具の販売を行う。

 

<居宅介護住宅改修費(住宅改修)>

手すりの取付その他の厚生労働大臣が定める住宅改修の支給を行う。

 

<居宅介護支援>

在宅の要介護者が在宅介護サービスを適切に利用できるように計画を作成し、その計画に基づくサービスが提供されるように、事業者との連携調整などの便宜を行う。

 

<夜間対応型訪問介護>

夜間に、ホームヘルパーなどが定期的に家庭を巡回したり、連絡のあった家庭を訪問し、介護や身の回りの世話を行う。

※地域密着型サービス

地域密着型サービスであるため、事業所や施設がある市区町村の住民の利用が基本となる。

 

 

【施設などに出かけて受けるサービス】

<通所介護(デイサービス)>

老人デイサービスセンター等において、日常生活の世話および機能訓練を行う。

(入浴、排泄、食事、生活に関する相談、助言、健康状態の確認など)

 

<通所リハビリテーション(デイ・ケア)>(主治医の指示)

介護老人保健施設、病院または診療所において、心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために必要なリハビリを行う。

 

<短期入所生活介護(ショートステイ)>

老人短期入所施設、特別養護老人ホーム等に短期間入所し、日常生活上の世話および機能訓練を行う。

 

<短期入所療養介護(ショートステイ)>

介護老人保健施設、介護療養型医療施設などに短期間入所し、看護、医学的管理下における介護、機能訓練その他必要な医療や日常生活上の世話を行う。

 

<小規模多機能型居宅介護>在宅

主に通所により食事や入浴、機能訓練などのサービスを行う。

利用者の状態や希望に応じて、同じ事業所が宿泊や随時訪問サービスを提供することで、要介護度が重くなっても在宅で生活が継続できるように支援する施設。

※地域密着型サービス

地域密着型サービスであるため、事業所や施設がある市区町村の住民の利用が基本となる。

 

 

【施設などで生活しながら受けるサービス】

<特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)>

有料老人ホーム、軽費老人ホームなどに入所し、特定施設サービス計画に基づき、日常生活上の世話、機能訓練および療養上の世話を行う。

 

<介護老人福祉施設>

特別養護老人ホーム、通称「特養」。

常時介護が必要で、在宅生活が困難な要介護者が入所できる施設。

入浴、排泄、食事の介助、日常生活の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話などのサービスが受けられる。

施設数は介護施設の中でもっとも多いのだが、入所希望者が多いため、即入所は難しい施設が多く、数年待ちのケースもある。

入所期間が決められていないので、「終の棲家」として選択することが多い。

 

<介護老人保健施設>

通称「老健」。

病状が安定しており入院治療は必要ないものの、看護や介護、リハビリテーションを必要としている人が対象。

看護、医学的管理のもとで介護や機能訓練、必要な医療、日常生活などのサービスが受けられる。

もともと医療機関から在宅に移行するときの中間的な施設として想定された。

3ヵ月ほどの入所でリハビリして、在宅へ戻るのを目指しているのだが、現実は在宅へ戻ることが困難なケースが多い。

 

<介護療養型医療施設>

急性期の治療が終わり、病状は安定期にあるものの、医療的なニーズが高い要介護者が入所できる施設。病院に設置されており、全国で約3000施設。

 

<認知症対応型共同生活介護(グループホーム)>施設

認知症高齢者が5~9人程度の少人数で共同生活を送りながら、介護や身の回りの世話を受ける。

※要支援1の方は原則利用できない

※地域密着型サービス

地域密着型サービスであるため、事業所や施設がある市区町村の住民の利用が基本となる。

 

<地域密着型特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)>施設

小規模な有料老人ホームや経費老人ホーム(定員30人未満)で生活しながら介護を受ける。

※地域密着型サービス

地域密着型サービスであるため、事業所や施設がある市区町村の住民の利用が基本となる。

 

 

【「サ高住」「サ付き」】

近年、急増しているのが「サ高住」「サ付き」と呼ばれる「サービス付き高齢者向け住宅」(以下、「サ高住」と略す)である。

2016年で約19万戸に達しているが、急増に伴い入居者と施設側とのトラブルが目立っている。

ここでは、「サ高住」について、「介護付き有料老人ホーム」との違いを中心に整理したい。

 

サ高住は、2011年10月高齢者住まい法で生まれた住居の形態で、比較的新しい制度である。

サ高住は、基本的に高齢者向けの賃貸住宅である。

普通の賃貸住宅と異なるのは、「バリアフリー構造であること」「居室の床面積が原則25平方メートル以上あること」「安否確認・生活相談サービスを提供すること」が条件となっている点である。

重要なのは、「サービス付」となっているが、介護サービスを施す施設ではないことである。

サ高住に義務付けされているのは、「安否確認・生活相談」の2つだけである。

これ以外のサービス(介護サービス)は、別契約になる。

つまり、別に費用がかかるということ。

たとえば、入居者が排便を手伝ってもらいたいので、24時間いつでもスッタフを呼ぶというサービスは受けられない。

もちろん、施設によっては、独自のサービスやオプションを付けているところもある。(これが、費用の差になっていることが多い。)

さらに、サ高住は参入業種も様々で、医療系や介護系とは限らない。

だから、どのようなサービスがあるかはできるだけ具体的に詳しく確認し、実際に見学してから契約するべきである。

 

これに対して介護付き有料老人ホームは、料金に食事・介護の費用をすべて含んでいる。

つまり、サ高住は建物賃貸借契約(賃貸住宅を借りる)であり、介護付き有料老人ホームは利用権契約(「居室と共用施設を利用する権利」と「介護や生活支援サービスを受ける権利」の両方)となる。これが最大の違いである。

サ高住に介護施設クラスのサービスを期待すると、入居してから後悔したり、認知症が進行した場合は退去を促される可能性もある。

 

特別養護老人ホームは、費用の多くの部分を介護保険で賄える公的な施設だが、全国で約50万人以上が入居待ちの状態であり、2015年の改正で対象者が原則要介護3以上になった。施設の選択肢を誤らぬように慎重に選択したい。

 

 

②認知症についてのいろいろな情報源

医療機関や介護施設の情報、社会資源を利用するための情報、ケアの悩みの相談窓口なども貴重な情報である。

これらの情報のうち、あなたの薬局の地域の窓口は調べておくと便利である。

(たとえば、地域包括支援センターや市区町村の介護相談窓口など)

 

【医療機関・介護施設】

○日本老年精神医学会ホームページ

http://www.rounen.org/

学会が認定する老年精神医学専門医のリストとその専門医が診療している医療機関のリスト

 

○(社)全国有料老人ホーム協会ホームページ

http://www.yurokyo-gh.jp/

 

○全国痴呆性高齢者グループホーム協会ホームページ

http://www.zenkoku-gh.jp/

 

 

【介護保険】

○住民票がある市区町村の窓口(介護保険担当)

 

○在宅介護支援センター

最寄りのセンターは、市区町村の福祉相談窓口で教えてくれる。

 

 

【成年後見制度】

○居住地域を管轄する家庭裁判所

申請に関する相談、手続きの方法など

○都道府県の弁護士会

○(社)成年後見センター・リーガルサポート

http://www.legal-support.or.jp/

日本司法書士会連合会が中心になって設立された組織で、全国に支部がある。

 

 

【認知症に関する総合的な情報】

○WAM NET(福祉保健医療情報ネット)

http://www.wam.go.jp/

独立行政法人 福祉医療機構が運営する、福祉、保健、医療の総合情報サイト。

介護制度の行政のトピックスなどの情報もある。

 

○e-65.net(イーローゴネット)

http://www.e-65.net/

認知症に関する基礎知識、相談や受診のガイドに関する情報を掲載。

全国の在宅介護支援センター、相談医療機関などを検索するためのリンクが充実している。

 

 

【相談・サービスの窓口】

○介護支え合い電話相談(社会福祉法人 浴風会)

0120-070-608

受付時間:月曜日~金曜日 10:00~15:00(土・日・祝・年末年始は除く)

http://www.yokufuukai.or.jp/call/index.html

介護経験があり、専門的スキルを積んだ相談員が、介護にあたるご家族の悩みを聴き、介護保険の情報提供や、解決の糸口を探す手助けをしてくれる。

 

○地域包括支援センター

全国4000箇所に設置されている相談センター

病院や介護サービスの情報提供はもちろん、地域の専門医と連携を取りながら、総合的な支援を行う。

市区町村の介護保険窓口で連絡先を教えてもらえる。

 

○保健所・保健センター

地域の医療機関などを教えてもらえる。

自治体により異なるが、認知症の相談会や講習会などを企画している。

 

○(公益社団法人)認知症の人と家族の会 認知症の電話相談

0120-294-456(土・日・祝を除く10:00~15:00)

http://www.alzheimer.or.jp

認知症の患者さんのご家族など、関係者によって構成されている団体で全国に支部がある。

電話相談は認知症介護の経験者が対応。情報交換や勉強会など、家族が集まる場も設けている。

 

 

以上

 

 

 

[参考資料]

親の「ぼけ」に気づいたら

斎藤正彦(文春文庫)

 

認知症の治療とケア -基本から実践まで-

監著 高瀬 義昌 (じほう)

 

認知症「いっしょがいいね」を支えるガイドブック

(第一三共株式会社)

 

アルツハイマー型認知症 できることブック

(エーザイ株式会社・ファイザー株式会社)

 

 

 

次章 >> [認知症PLUS]⑥ケアする人が知っておくべきこと

 

 

 

α 在宅PLUS ナビゲーション

[在宅PLUSシリーズ]

[認知症PLUS]①前口上

[認知症PLUS]②いろいろな認知症

[認知症PLUS]③薬物治療で覚えておくこと

[認知症PLUS]④パーソンセンタードケア

[認知症PLUS]⑤薬局でできること ←今ココ

[認知症PLUS]⑥ケアする人が知っておくべきこと

[認知症PLUS]⑦廃用症候群

[認知症PLUS]⑧成年後見制度

[在宅関連用語PLUS]在宅PLUSシリーズ

[嚥下障害PLUS①嚥下障害とは]在宅PLUSシリーズ

[嚥下障害PLUS②嚥下障害と薬]在宅PLUSシリーズ

[嚥下障害PLUS③薬剤性嚥下障害]在宅PLUSシリーズ

[服薬指導 睡眠薬]基礎篇

[服薬指導 睡眠薬]指導篇

 

 

 

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