[高齢者の薬物療法PLUS]⑧おまけ 一包化について


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[高齢者の薬物療法PLUS]⑧おまけ 一包化について

 

 

このコンテンツは、一包化について考察する。

内容は、「一包化の注意点」と「一包化の工夫」である。

私自身が実践したことに加え、これまでにいろいろな薬剤師さんから教えていただいたことが中心になる。

もちろん、雑誌で読んだ情報もあるが、残念ながら雑誌名や号数などの記録をしていなかったため、引用元を記載することはできなかった。

これまでに多くの薬剤師さんから一包化について教えていただいた。

その方々に、心から敬意を表し紹介したい。

 

 

 

[一包化の注意点]

もっとも大切なことは「一包化できる薬」かどうかの確認である。

ネットで探すと、添付文書に一包化についての記述がある薬品を調べたリストなどが見つかる。

これらを参考にするのはかまわないが、基本は「そのとき、処方された薬を各々確認する」である。

ネットに限らずこのようなリストの情報は、作成日とその後のメンテナンスが問題になる。

たとえば、「添付文書には記述がないが、インタビューフォームには記載されている」とか、「剤型が改良されて一包化が可能になった」とか、「新薬でリストから漏れた」とかである。

 

一包化できない薬は、安定性に問題がある場合が多い。

具体的には、以下の事項である。

・吸湿性が高く、PTP包装から出せない。

・光に対して不安定である。

・錠剤が柔らかいので、自動分包機には適さない。

・自動分包機で破損する可能性がある。(軟カプセルなど)

つまり、これらの項目を添付文書とインタビューフォームを使って確認する。

→基本は、製剤の安定性(吸湿性、光安定性など)のデータである。

→インタビューフォームで一包化に関する記述を確認する。

(添付文書に記載がなくとも、インタビューファームに記載されているケースがある。)

 

自己調節の指示が出ている薬を必ず確認する。

→便秘薬、睡眠剤など

 

薬歴に詳細でわかりやすい一包化の方法を記録しておく。

この情報をどのように共有するかを薬局内で打ち合わせしておく。

必要であれば、図も活用する。

 

 

 

【一包化の基準】

一包化は、患者さんの服用状況が悪い場合に適用されるが、その必要性は次の3点から検討する。

・認知機能

・視覚機能

・日常生活動作・運動機能(薬をつまめない、PTP包装から出せない)

 

お薬の説明のときに、これらの機能をできる限り確認する。

たとえば、「質問に対する答え」「支払いのとき」「ご家族・介護の方からの情報」などはヒントになることが多い。

各項目の入手できた情報は、薬歴の一包化の方法とともに記入しておく。

 

 

 

【一包化をするときに注意するケース】

・患者さんが急いでいる場合

・薬剤費を抑えたいと思っている場合

・処方薬の中に一包化できない薬がある場合

・自己調節の薬が多い場合

・処方日数が長い、処方数が多い場合

・患者さんが集中したとき

 

 

 

[一包化の工夫]

・散剤の場合には配合変化にも注意する。

→配合変化の可能性がある散剤の容器にはシールを貼るなどのサインを入れるとよい。

 

・薬の数が多い処方を、手作業で一包化する場合の工夫。

→薬を錠剤ホールにセットするとき、1種類ごとにシャッターを開けて、下のコンパートメントに落とす。

 

・PTP包装から出した場合、その空シートの殻を鑑査する。

なお、一包化の鑑査は最低2回行う。

→一包化する薬をそろえたときに第三者が確認する。(自動分包機の場合は、カセットを充填するときに第三者が確認する。)

→一包化した後に、第三者が確認する。

 

・一包化の処方せんを受け取った時に、時間がかかる旨と順番が前後することのご了解をいただく。

患者さんご本人、代理人、ご家族の方へ作業の内容と必要な時間を丁寧に説明する。

(2回目以降は、作業内容を詳細に説明する必要はないが、「前回と同じようにお薬をご用意しますので、お時間を頂戴いたします。」などのお声掛けはしておきたい。)

 

・患者さんに一包化を説明するときには、一包化の見本をお見せする。

(期限切れの薬を使って、一包化の見本を作っておく。)

 

・必要に応じて「一包化の順序」を変更する。

例えば、

→家族や介護スタッフが服薬補助をする場合は、朝の服用分でまとめる。

→自分で管理している場合は、1日分を服用順に並ぶようにまとめる。例:朝食後-夕食後(1日分)を反復していく。

 

・一包化と別包、PTP包装のままが混在する場合

→同じ服用時点でまとめる。(ホッチキスでくくる、服薬カレンダーや服薬ボックスを用いる。)

 

・分包紙への記入

→印字の大きさは必ず確認し、状況に応じて変更する。

→患者さんによっては漢字ではなくひらがなで記入する。

→服用予定日を記入する。

→患者さんによって曜日のリクエストもある。

(毎週定期的に行われる介護サービスを曜日で覚えているから。)

→着色する

(分包紙に色をつけたときは、薬袋にも同じ色でマークし、ダブルで確認できるようにする。)

→ご施設に入所されている患者さんの場合は、氏名の印字が喜ばれる。(他の人の薬と間違えないので)

 

・一包化に時間がかかるケースは、次回の来局予定日をカレンダーに記入しておく。

症状が安定しており、同じ処方が続いている患者さんについては予め薬だけ集めておく。(手作業の場合)

処方変更の可能性があるため、包装から薬は出さない。

 

・1日分づつ輪ゴムでまとめる。

 

・目がご不自由な患者さんには、「点字シールを貼る。」「書いた部分が盛り上がるペンを使う」などの手がある。

また、分包紙の耳にホッチキスを止めて、区別するのもよい。

(1日2回朝夕食後の場合、朝はホッチキスなし、夕はホッチキスを止めておく。)

 

 

 

[まとめ]

一包化した後、服用状況がどうなったかを必ず確認しなければならない。

あまり服用状況は改善してないのに、「お陰さまで、飲みやすくなりました」という患者さんもいる。

薬局に手間をかけさせたので、文句が言えないのだ。

このようなことがないよう、真の服薬状況を知る工夫を心掛けたい。

 

一包化は、調剤の工程が多くなるので調剤ミスも発生しやすくなる。

また、薬剤の確認、鑑査もミスが許されない。

一包化の患者さんが集中したときには、焦ることもあるだろう。

しかし、患者さんや介護の方から大変喜ばれ、薬剤師としてやりがいを感じる業務である。

今後とも、一包化の工夫など有意義な情報を入手した場合は、このコンテンツに追加していきたい。

(皆さんからの情報もお待ちしています。よろしくお願いいたします。)

 

 

以上

 

 

 

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