前章 >> [第3章 患者さんがどんなことに不満や満足を感じるか?]
A 調剤薬局で患者さんを増やす方法
[第4章 患者さんに接するときの基本方針]
私の経験上、患者さんに接するときにもっとも大切なのは、「あいさつ」「笑顔」「傾聴」である。
これに薬剤師の業務に必須の「わかりやすい説明」を加えて4つとしたい。
・「あいさつ」「笑顔」
これらについては、詳細な説明は必要ないだろう。
人間を相手にする仕事においては、基本であり、第一のマナーである。
第一印象の決定打といってもよいだろう。
心理学的にも、第一印象が良いと次に会ったときに打ち解けて表情が柔らかくなり、お互いに良い印象を持つようになると言う。
患者さんとの信頼関係を気づく必要がある薬剤師にとっては必須である。
・「傾聴」
「傾聴」の重要性は、患者さんの情報を入手する以上のいろいろなメリットがあることだ。
ひとつめは、患者さんとの信頼関係が強くなること。
高齢者の患者さん(特に女性)から聞かれる医療関係者のほめ言葉に「あの先生はちゃんと話を聞いてくださる。」がある。
自分の訴えをきちんと聞いてもらいたいと考える人は非常に多い。
ただ話を聴いて共感してもらうだけでも信頼関係は高まる。
ふたつめは、他人に話している間に自分の考えがまとまり、整理されることだ。
特に感情的になっているときは、ひととおり話すだけでかなり落ち着く。
これは、通常の服薬指導はもちろん、クレーム対応のポイントでもある。
忙しい薬局では、患者さん一人に割ける時間は限られる。
しかし、薬物治療に関する相談の場合は、必ず患者さんの訴えを遮らずに聴くべきである。
不安を減らすこと、安心感を与えることも、われわれのもっとも重要な仕事だからだ。
・「わかりやすい説明」
薬剤師として患者さんに服薬指導をする。
このとき、もっとも重要なことは、「あなたがちゃんと説明したか?」ではない。
患者さんが「薬の何を理解してくれたか?」である。
説明する内容は重要でも、患者さんが理解していなければ意味がない。
もしも、地域の薬局の中で、あなたの説明が一番わかりやすいとしたらどうなるか?
当然、患者さんの薬物治療の理解度は高まり、アドヒアランスは良好になり治療効果も期待できるだろう。
また、あなたへの信頼度が高まり、別のお薬の相談もしたいと思うだろう。
それに対応することで、ますます信頼が強固になり、満足度はあがっていく。
信頼と満足度が高まれば、患者さんが薬局を変えることはない。
また、その患者さんが他の医療施設に受診したときも処方せんをあなたの薬局にもってくる。
人間は、自分が感激するような体験をすると他の人にしゃべりたくなる。
良い評判は口コミで広がっていく。
以上が私が考える基本方針である。
◇まとめ◇
患者さんに接するときの基本方針
「あいさつ」「笑顔」「傾聴」「わかりやすい説明」
次章 >> [第5章 クレーム・調剤過誤]
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