前章 >> [第2章 調剤薬局に集客が必要なワケ]
A 調剤薬局で患者さんを増やす方法
[第3章 患者さんはどんなことに不満や満足を感じるか?]
「患者さんを増やす」ということの本質は次の2点である。
・現在の患者さんを減らさない。
・新規の患者さんを増やす。
(門前のクリニック以外の別の医療機関の患者さんのことである。)
「現在の患者さんを減らさない」とは、患者さんがあなたの薬局に不満を感じて他の薬局へ移ることを防ぐということである。
つまり、どのようにして患者さんの「不満を減らす」かということである。
「新規の患者さんを増やす」とは、あなたの薬局の評判を高めることである。
先ほどとは逆に、他の薬局よりもあなたの薬局が好ましいと思った患者さんは、あなたに処方せんを持ってくる。
つまり、どのようにして患者さんの「満足度を高める」かということである。
患者さんの医療機関の受診動機の中でもっとも多いのは、「近くにあるから」である。
しかし、近所に医療機関がない場合や近くの医療機関に不満がある人は、他の医療機関を探す。
このとき、少しでも良いところを探したいと思うのは、人情であろう。
私のところにもしばしば「○○科で評判のよい病院(医者)を教えてくれ」とたずねられる。
現在なら、スマホかパソコンで検索する人が多いだろうが、少数の口コミはあってもなかなかクリニックの本当の評判まではわからない。
高齢者は、ネットで検索できる人も少ない。
その結果、家族、友人、近所の人などの評判から受診する医療機関を決める人が多い。
特に高齢者の女性、小児科(もちろん親)、産婦人科の患者さんは、口コミが多いと言われる。
つまり、あなたの薬局の評判が良い場合も悪い場合もその噂は広がると考えた方がよい。
では、患者さんは薬局のどんなことに不満や満足を感じるのか?
「NIKKEI Drug Information 2012.01号」の患者さんへのアンケートから「満足」「不満」に関する結果をみてみよう。
薬局で不快な経験をしたり、薬剤師に不満を感じたことがあるかどうかをたずねたところ、30.8%が「ある」と答えている。
不満の理由で多いのは、次の3つである。
・「待ち時間が長い」
・「在庫切れ」
・「薬剤師の言葉遣いや態度」となっている。
反対に薬局でサービスに感謝したことのある人は36.9%。
感謝の理由で多いのは、次の3つである。
・「薬の説明をきちんとしてくれた」
・「薬剤師の言葉遣いや態度が良かった」
・「質問や相談にきちんと答えてくれた」
他にも「薬局の中がきれいだった」「薬の飲み合わせをチェックしてくれた」や薬の効果・副作用・症状の確認などが含まれている。
このアンケート結果からは、患者さんにていねいに対応することと言葉遣いや態度を正す
ことが重要であることがわかる。
なんのことはない。業務の基本を押さえるだけで多くの患者さんに感謝されるのだ。
しかし、私はこの結果の裏には重要なポイントが隠されていると考えている。
それは、「わかりやすく説明する」ことである。
「薬の説明をきちんとしてくれた」という感謝の本質は、患者さんの知りたい情報をわかりやすく説明してくれたことにあると思う。
「質問や相談にきちんと答えてくれた」の中の「きちんと」という言葉の意味も「わかりやすく」が含まれているはずだ。
画一的な対応ではなく、個々の患者さんにあわせたコミュニケーションを工夫することは大切だ。
加えて、どの患者さんにもわかりやすい説明をすることは、同じくらい重要ではないだろうか?
(ちなみに、私が考えるわかりやすい説明とは「中学生が聞いただけで理解できる内容」である。)
薬剤師の言葉遣いや態度は、業務以前の問題である。
◇まとめ◇
患者さんを増やすもっとも良い方法は、患者さんへの満足度を高めることである。
その満足度を高めるには、「患者さんに対する業務をきちんと行うこと」と「言葉遣いや態度を正すこと」が大切である。
患者さんにはきちんと対応しましょう。言葉遣いと態度を正しましょう。これは、当たり前のことである。
これは、忘れないように胸に刻むとして、次の章から「患者さんが満足する工夫」についてもう少し掘り下げたい。
他の薬局との差別化のヒントと言ってもよい。
具体的には、以下の内容である。
次章 >> [第4章 患者さんに接するときの基本方針]
A 調剤薬局で患者さんを増やす方法 ナビゲーション
[第3章 患者さんがどんなことに不満や満足を感じるか?] ←今ココ
↓ もし良かったら、この記事をシェアしていただけると嬉しいです。