[服薬指導 ワルファリン]


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 6  服薬指導 

[服薬指導 ワルファリン]

 

 

内服薬の服薬指導の例題を考えるとしたらどのような薬が相応しいだろうか?

私は、個人的に「ワルファリン」がもっとも相応しいと考えている。

その理由は、内服薬の説明に必要な要素をほとんど備えた薬だからだ。

 

このコンテンツでは、そのワルファリンの服薬指導を考察する。

内服薬の服薬指導の本質を理解し、他の薬にも応用できるようにするのが目的である。

 

ワルファリンの説明をするときには、何をどのように説明するのがよいか?を6つの切り口で考える。

そして切り口各々を、【患者さんに説明すること】と【あなたが知っておくべきこと】に分けて内容を整理する。

6つの切り口とは以下の6項目である。

 

1)効能・効果

2)用法・用量

3)副作用

4)薬の管理

5)相互作用

6)その他の大切なこと

 

あなたがワルファリンの説明を考える場合のたたき台にしてほしい。

では1)効能・効果について解説する。

 

 

 

[1)効能・効果]

【患者さんに説明すること】

ワルファリンが処方された患者さんに最初に説明するのは、他の薬と同様、「何に効く薬か?」であろう。

一言で言うと、「血栓または塞栓の予防」になるのだが、問題はこれをわかりやすく伝えることである。

まず、医師の説明を患者さんに確認しよう。

ちなみに、抗凝固療法薬・抗血栓薬を医師が処方する場合、患者さんに「血液がさらさらになる薬」と説明することが多い。

非常にわかりやすい表現であるため、これを使わせていただくことも多い。

医師の説明で服用の目的とワルファリンの作用を理解しているかどうかを確認することは、とても重要である。

血液をさらさらにする目的は、「血が固まって細い血管を目詰まりさせることが無いようにするため」である。

 

詳細な説明が必要な場合、「心房細動」「人工弁置換術」をわかりやすく説明する必要が出てくる。

心房細動は、「心臓のポンプ機能が弱くなる不整脈で、血液の流れが悪くなるため血が固まりやすくなる状態。」

人工弁置換術自体は、手術時にほとんどの患者さんが説明を受けているはずなので、血栓形成のメカニズムを噛み砕いた表現で説明する。

つまり、血液は異物と接触すると固まりやすくなる性質のことである。

 

 

【あなたが知っておくべきこと】

<ワルファリンの効能効果と主な対象疾患> Warfarin適正使用情報 第3版 P.41より引用

ワルファリンはin vitro で血液に対する直接の抗凝固作用はないので、既に形成された血栓は溶解しない。

血小板に対して直接的な作用は持たないので、血小板の関与が強い動脈血栓の形成初期段階では、血栓形成に対して抑制効果が少ない。

ワルファリンの抗凝固作用は、血液のうっ滞や凝固系の関与が強い静脈血栓に対して効果的である。

しかし、主として塞栓症の場合には、凝血塊の発育・成長が生じて塞栓症が発症することを防止する目的で、静脈血栓症だけでなく末梢動脈塞栓症や脳動脈塞栓症に対しても用いられることがある。

 

=効能効果 =

血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防

 

=主な対象疾患=

深部静脈血栓症

肺塞栓症

心筋梗塞の二次予防(再梗塞、脳塞栓症等)

心房細動における血栓塞栓症(脳塞栓症等)の予防

人工弁置換術後の血栓塞栓症(脳塞栓症等)の予防

 

※ワルファリン療法が必須となるのは人工弁置換術後および発症6 ヵ月以内の肺塞栓症である。

 

次は、2)用法・用量について解説する。

 

 

 

[2)用法・用量]

【患者さんに説明すること】

ワルファリンの用法・用量の説明で重要なことは、以下の2点である。

・人によって飲む量が異なる。

・検査値によって飲む量が変わる。

 

要するに、「ワルファリンの飲む量は、血液凝固能検査によって決められる。」ことを丁寧に説明する。

血液凝固能の検査は、病気を予防する効果を最大にして副作用が出る危険を最少にするために行う。

飲む量が多くなる場合もあるが、それは病気が悪くなったことではない。

特に飲み始めは、週1回以上の検査が約1か月以上続く場合があり、安定した治療域に入るまでは、服用量が変化していく。

また、個人差が大きい薬剤のため、別の人の飲む量と異なる場合も多い。

 

用法・用量を説明する際に、想定してほしいケースは以下のパターンである。

→凝固能検査を定期的に行うことを不安に感じているケース。

→お知り合いの患者さんのワルファリンの量が、自分と異なるケース。(ご年配の女性に多い。)

 

 

【あなたが知っておくべきこと】

<外来でワルファリンを投与する場合> Warfarin適正使用情報 第3版 P.84より引用

ワルファリン療法は入院による導入が安全である。

入院できない場合や比較的ゆるやかに導入する場合は、外来で1日量1mgから導入し週1回血液凝固能検査を行い、過量投与による出血性合併症に注意しつつ0.5~1mgずつ増減し、治療域に到達させる。1ヵ月以上の長期間を要する場合があることを考慮しておく。

 

<血液凝固能検査> Warfarin適正使用情報 第3版 P.90より引用

血液凝固能検査にはプロトロンビン時間(PT)とトロンボテストがあるが、その標記にはINRが使用される。

INRはPT測定値を測定試薬に付けられているInternational Sensitivity Index(ISI)*により補正して求められ、試薬間、ロット間及び施設間等の差を補正するために標準化された値である。

INRを算出するには下記の式で算出される。

1984 年に国際血栓止血学会の標準化委員会で示された「経口抗凝固療法ガイドライン」や「プロトロンビン時間記載方法に関する勧告」が日本に紹介されたのが最初であり、その後、INRが普及し、汎用され、現在国内の各ガイドラインにも反映されつつある。

INRは年齢、疾患、危険因子等の条件によって様々な治療域が設定されているが、最も基本的と考えられる治療域を「INR2~3とするものが多い」と示している。

 

*:ISIは一次国際標準品との活性の比較により求められたPT試薬の感度を示す指数

INR=[患者血漿のPT(秒)/正常血漿の平均PT(秒)]ISI

 

INRについて参考となる各種ガイドラインは以下のとおりである。

ガイドライン一覧

・「ダイジェスト版 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン」(2009 年改訂版)

・「ダイジェスト版 心房細動治療(薬物)ガイドライン」(2008)

・「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断・治療・予防に関するガイドライン」(2009 年改訂版)

・「Pharmacology and Management of the Vitamin K Antagonists」ACCP(2008 年改訂版)

・「AHA/ACC* Foundation Guide to Warfarin Therapy」(2003)

・「Guidelines on oral anticoagulation(warfarin)3rd ed.」(2005)

*AHA:American Heart Association, ACC:American College of Cardiology

 

ちなみにワルファリンは、1日1回の投与である。

いつ服用しても良いので、もっとも患者さんが飲みやすいタイミングで用法を決定できる。

だから、患者さんの服用のタイミングに問題がある場合、処方先の医師と相談するべきである。

 

次は、3)副作用について説明する。

 

 

 

[3)副作用]

【患者さんに説明すること】

ワルファリンの副作用で、もっとも注意が必要な副作用は、「出血」である。

この副作用は、薬理作用の裏返しなので、「血液がサラサラ」や「血液が固まって細い血管の目詰まりさせるのを予防する」などの言葉から説明すると理解しやすい。

この副作用を少なくするために、血液凝固能検査を定期的に行うことも併せて説明しよう。

日常生活では、歯磨きのときの歯茎からの出血、本人が気づかない打ち身による内出血なども気づいたら報告いただくようにしたい。

出血の危険がある生活上の注意は、必ず説明する。

たとえば、バイク、ボクシング、カミソリによる髭処理など。

 

ワルファリンを服用する患者さんが妊娠年齢の女性の場合には、「催奇形性」に注意しなくてはならない。

ワルファリンは妊婦への投与は禁忌のため、妊娠の有無は必ず確認する。

また、妊娠を希望する場合は、主治医への相談を必ずしていただくよう説明する。

 

もう一つの大切なことは、他院他科の受診の際の注意事項を確認することである。

つまり、他の医療施設に行ったときに、「私はワルファリンを飲んでいます。」と医師へ伝えることである。

この時に、患者さんの「お薬手帳」の活用状況をお聞きする。

もし、使用していなければ、紹介する大きなチャンスである。

具体的な理由として、抜歯、内視鏡などを挙げ、歯科や眼科に行くときにもお薬手帳を持っていくことを説明する。

 

 

【あなたが知っておくべきこと】

処方監査の時に確認するべき項目であるが、ここでワルファリンの禁忌について確認しておきたい。

 

<ワルファリンの投与禁忌> Warfarin適正使用情報 第3版 P.187より引用

①出血している患者

(血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の血液凝固障害、月経期間中、手術時、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産褥婦、頭蓋内出血の疑いのある患者等)

② 出血する可能性のある患者

(内臓腫瘍、消化管の憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、重症高血圧症、重症糖尿病の患者等)

③ 重篤な肝障害・腎障害のある患者

④ 中枢神経系の手術又は外傷後日の浅い患者

⑤ 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者

⑥ 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人

⑦ 骨粗鬆症治療用ビタミンK2(メナテトレノン)製剤を投与中の患者

⑧ イグラチモドを投与中の患者

※イグラチモド:関節リウマチの治療薬

 

次は、4)薬の管理について説明する。

 

 

 

[4)薬の管理]

【患者さんに説明すること】

まず、現在の薬の管理状況をお聞きしよう。

このとき、ご夫婦の薬が一緒に入っていたり、保管する場所が高温になりやすい環境などの問題がないかをチェックする。

続いて、同居人を確認する。

小児や高齢者(特に認知症、視力が低下している場合など)の有無、服用をサポートいただけるご家族がいるかなどを確認する。

 

※細かいことであるが、盆暮れ・ゴールデンウィークなど家族・親族が集まる前には、小児に注意するよう一声かけよう。

 

次は、5)相互作用について説明する。

 

 

 

[5)相互作用]

【患者さんに説明すること】

ワルファリンの相互作用で患者さんにお伝えするべきことは、「ワルファリンは、もっとも飲み合わせが多い薬」であるということ。

つまり、あなたは患者さんのすべての「治療」「服用する薬剤」「サプリ・健康食品」を把握しなければならない。

 

話の流れとしては、

「ワルファリンは、もっとも飲み合わせが多い薬です。」

        ↓

「飲み合わせとは、一緒に飲むのはよくないということです。」

        ↓

「ワルファリンを安全に飲んでいただくために、患者さんが受けられる治療、薬、サプリメント・健康食品を把握しなければいけません。」

        ↓

「だから、先ほどの情報を教えてください。私が、相互作用の確認をさせていただきます。」

→このときに、もっとも良い方法として「お薬手帳」を紹介する。

お薬手帳は、「副作用」「相互作用」の2点から必ず活用してほしい旨を説明する。

 

<ワルファリン療法施行中の食事指導の原則>

1. 納豆、クロレラ、青汁は摂取しない。

2. 緑黄色野菜は特に制限をしないが、一時的な大量摂取は避ける。

 食生活上や栄養学的に緑黄色野菜は必須なので、必要量は摂取する。

3. 偏食、大量飲酒をしない。

 

注意するのは、ベジタリアンと患者さんが食生活習慣を変えたときである。

 

日常生活上の注意は、「副作用」「薬の管理」「相互作用」の項目でそれぞれ説明し、最後に復習を兼ねて小冊子(エーザイ作成)を使ってまとめるとよい。

 

 

【あなたが知っておくべきこと】

ワルファリンと個々の医薬品との相互作用については、「Warfarin適正使用情報」にて確認し、対応する。

Warfarin適正使用情報では、客観性を保つために可能な限り各種図書の記載内容および文献的報告が掲載されている。

(文献的報告は臨床研究報告、症例報告事例、基礎研究報告に分け、各報告の要約も掲載されている。)

そのため、医師への報告の根拠としても十分であろう。

可能であれば、ワルファリンの相互作用に関しての連絡について医師と打ち合わせをするのが理想である。

 

※<Warfarin適正使用情報の相互作用の参考図書一覧> Warfarin適正使用情報 第3版 P.207より引用

USP-DI : United States Pharmacopiea Dispensing Information,(2006)

PDR  : Physicians’Desk Reference,(2006)

MARTINDALE : Martindale: The Complete Drug Reference 34th ed.,(2005)

MEYLER : Meyler’s Side Effects of Drugs 14th ed.,(2000)

STOCKLEY : Stockley’s Drug Interactions 7th ed.,(2006)

HANSTEN : Hansten and Horn:

Managing Clinically Important Drug Interactions,(2005)

FACTS : Drug Interaction Facts,(2004)

 

なお、他の薬剤との相互作用は、可能な全ての組み合わせについて検討されているわけではない。

ワルファリン服用中に新たに他剤を併用したり休薬する場合には、血液凝固能検査値の変動に注意する。

 

あくまでも、血液凝固能検査を中心に考えるのである。

 

このコンテンツで、度々引用している「Warfarin適正使用情報」は、エーザイ株式会社作成の資料である。

ワルファリンの質問は、これ一冊あればほとんど解決するだろう。

調剤薬局に必ず用意しておきたい資料である。

この資料は、エーザイのサイトからダウンロードが可能である。

 

次は、6)その他の大切なことについて説明する。

 

 

 

[6)その他の大切なこと]

【患者さんに説明すること】

エーザイのサイトには「ワルファリン」のコーナーが設置されており、各種の情報を得ることができる。

先ほど紹介した「Warfarin適正使用情報」の他、患者さんにお渡しするための指導せんや抗凝血薬療法手帳なども用意されている。

日常生活上の注意をまとめて説明したいときに、必ず役立つ。

あなたの薬局でワルファリンを取り扱っているなら、閲覧を勧める。

 

 

【あなたが知っておくべきこと】

ワルファリンの服用中に、血液凝固検査値が不安定なケースがある。

この時に、考えられる原因と対応を紹介する。

 

<血液凝固能が不安定な時(原因と対応)> Warfarin適正使用情報 第3版 P.108-109より引用

ワルファリン維持療法中に患者のプロトロンビン時間またはトロンボテストの値が変動し、不安定となってコントロールがうまくいかない場合がある。

(1)原因と対応

①患者のワルファリンに対する適応力に余裕がない場合。

少量の用量変更でも血液凝固能が大きく変動する場合、さらに微量の用量調節を考慮する。

なお、CYP2C9の遺伝子多型などを把握できる患者の場合は、その背景情報は重要と考えられる。

②患者の病態が変化した。

患者の病態の変化も考えて、肝、腎、甲状腺の機能、発熱、体重の変化の有無などもチェックする。

③ワルファリンの投与量の変更が頻繁すぎる。

ワルファリンの効果は投与直後には現れず、経口投与後12~24時間で発現し、48~72時間まで持続する。

したがって、その日その日のプロトロンビン時間、トロンボテスト値に応じてすぐ投与量を変更することを避け、少なくとも2~3日間は投与量を一定にして経過を見た方が投与量の方針が立て易く、早く安定した治療域に到達できることが多い。

④ワルファリンと薬物相互作用のある薬剤を投与または中止した。

ワルファリンと薬物相互作用のある薬剤には、他院でもらった薬や、患者自身が服用している一般薬も含まれるので、これらのすべてを聞き出すことが必要である。

⑤ビタミンK含有量の多い野菜類の過量摂取や納豆の摂取、あるいはビタミンKの吸収障害がある。

ワルファリンと拮抗するビタミンKの多い食物の過量摂取または消化不良(下痢など)によるビタミンKの吸収障害は、血液凝固能

コントロール不良の原因となる。

⑥患者の飲み忘れによるコンプライアンスの不良がある。

ワルファリンを1日2~3 回に分服している場合にこのようなケースが考えられる。

ワルファリンは1日1回の服用で効果があるので、飲み忘れを防ぐためにも毎日決まった時刻に服用することが望ましい。

確認事項と対処

まず①~③の項目をチェックする。

①飲み忘れはなかったか。

入院患者でも、服用を目視で確認してない場合は、コンプライアンスの状況に注意する。

②併用薬、食事内容に変化はなかったか。

ビタミンK含有量の多い食品やいわゆる健康食品などの摂取を十分にチェックする。患者自身が正直に申し出にくい場合や無意識に摂取している場合も考えられるので注意する。

③患者の状態に変化はなかったか。

(下痢、発熱、肝機能、腎機能、甲状腺機能など)

たとえばクリアランスが低下するとトロンボテスト値は下降(ワルファリンの作用は増強)する。

肝炎、心不全によるうっ血肝、甲状腺機能亢進症などでは、病態が改善するとトロンボテスト値は上昇(ワルファリンの作用は減弱)する。

逆にネフローゼや甲状腺機能低下症などでは、病態が改善するとトロンボテスト値は下降する。

次に④~⑦の項目をチェックする。

④血液凝固能検査を点検する。

測定法やキットに変更はなかったかについてもチェックする必要がある。

⑤血液凝固能検査を組み合わせる。

たとえばトロンボテストでモニタリングしていて異常値が出た場合、プロトロンビン時間を追加して見る方法もある。

さらに第Ⅱ、Ⅶ、Ⅹ因子等を直接測定することも有用である。

⑥ワルファリンの投与量と凝固能の変化をグラフ化する。

併用薬、食事や病態の変化、他の臨床検査値などをグラフの中に記入していくと影響しているものをみつけやすい。

(『抗凝血薬療法手帳』(エーザイ作成)にはこの血液凝固能記入表がある。)

⑦投与量を変更する場合には?

患者がワルファリンに対する適応力に余裕の無い場合には、2日ないし3日に一度0.5mg単位の少量の増減量による細かな調整が必要である。

ワルファリンが効かない場合は、血液凝固能検査値の信頼性が確保されていて、他の要因について一通り確認済みであれば、増量して調節する。

 

 

 

[まとめ]

ワルファリンの服薬指導をまとめてみたい。

 

 

・飲み方

用法用量は血液凝固能検査の値に基づいて決められる。

つまり、定期的な血液検査が実施され、場合によっては、投与量が変更される。

このとき、患者さんは「なぜ、検査が増えたのだろう?」「投与量が変更されたのは、自分の病気が悪化したからではないか?」などの不安をいだくかもしれない。このような不安を軽減するための説明を考えるのである。

 

また、ワルファリンは1日1回いつでも服用できる特性がある。患者さんが服用で悩んでおられたら、飲みやすい用法を医師に相談するなどの工夫ができる。

 

 

・効能効果=副作用

ワルファリンの薬理作用を考えた時、効能効果と副作用はイコールの関係になる。

だから、説明はしやすい。しかし、「出血」という副作用を聞いたとき、不安になる患者さんは多いだろう。

この時、血液凝固能検査の定期的な実施が、病気を予防する効果を最大にして副作用が出る危険を最少にすることがわかれば、不安は軽減されるはずである。

さらに、薬剤師が心得ておかなければならないことは、血液凝固能が治療域内でコントロールされていても出血が生じることがあるということ。

だから、日常生活で歯茎からの出血が以前よりも多くなったり、内出血がみられた場合に注意していただくのだ。

 

 

・薬の管理

すべての薬がそうなのだが、特にワルファリンは本人以外は絶対飲んではいけない薬である。

つまり、他の人が誤飲しないように、管理しなければならない薬である。

ワルファリンが処方されたときは、同居している家族構成、現在の薬の管理状況を把握する。

もし問題があれば、改善する大きなチャンスである。

特に、多くの薬を併用している場合、服用状況と薬の管理状況は必ず確認したい。

 

 

・相互作用

ワルファリンは、もっとも相互作用が多い内服薬の一つである。

これ自体は、マイナス面である。

しかし、あなたがかかりつけ薬剤師として、その患者さんの治療・薬剤服用状況を一元管理する絶好の機会になると思う。

ワルファリンは相互作用の多い薬だが、薬が一元管理されれば、薬物治療の安全性は増すはずだ。

説明するまでもないが、その一番大きな武器は「お薬手帳」である。

「お薬手帳」の必要性は、ワルファリンの「副作用の出血」「相互作用」の2つの説明を通して患者さんにも理解してもらえるはずだ。

同時に使い方も詳しく説明するチャンスである。

このときの説明は、他の患者さんへの紹介にも応用できるのだ。

 

 

最後に

ワルファリンは、覚えること、理解するべきことが多い薬なので、患者さんが戸惑うケースもあるだろう。

しかし、薬剤師は患者さんのそんな不安を減らすことができることを覚えておいてほしい。

いろいろな医療施設で「ワルファリン教室」が開催されるのも、なるほどと思う。

私の場合、患者さん本人以外の同居人に説明できる機会があれば、説明していた。

特に、夫がワルファリンの服用者で奥さんが料理と薬の管理をしているケースなどは、可能であればご夫婦で説明させていただきたいケースだ。

また、紙や小冊子を活用することも有用である。

私の場合は、エーザイ株式会社作成の患者さん用小冊子を使っていた。

手元に残る資料があると、患者さんは安心でき、ご自身でも確認できるからである。

患者さんに資料を手渡す場合、医師にその資料を紹介しておくことが重要である。

そして、もっとも大切なのは、疑問や不安があったら、いつでも連絡してくださいと申し添えることである。

 

 

 

[引用・参考資料]

「Warfarin適正使用情報 第3版」エーザイ株式会社

 

 

 

以上

 

 

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