[服薬指導 貼付剤 後編]


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[服薬指導 貼付剤 後編]

 

 

前編より続き

 

 

 

[薬剤毎のポイント]

医薬関連の雑誌では、まれに「貼付剤」の特集が組まれる。

私が、「貼付剤」をテーマに勉強したときには、もちろん勉強材料としてこれらの情報を活用した。

雑誌の情報で、実際に薬の説明に活用した情報の要点をまとめた。

 

・ツロブテロール

β2刺激剤の重複投与に注意すること。

(まれに、組み合わせる医師もいるが。)

うちの薬局では、かぜで咳がひどい場合にも処方されていたため、他院他科の受診、喘息等の治療を必ず確認していた。

副作用は、「かぶれ」「動悸」「手のふるえ」は注意が必要だろう。

血中濃度は12時間後にピークになることを覚えておく。貼付のタイミングを考慮できるためである。

 

・リバスチグミン

高頻度の接触性皮膚炎が特徴である。

そのため、来局時には毎回、貼付方法、貼付部分の状態を確認する。

ある雑誌には、9→13.5の増量時に接触性皮膚炎が多くなるとあったが、私の印象も同じである。

このタイプの薬で大変なのは、在庫管理である。複数例処方されたときは混乱する。

うちの薬局では、内服が厳しい患者さんのみ数例に処方していたため、処方患者の一覧表を作成してトレースしていた。

また、主力で使うのか服用困難例のみ使うのかで在庫数が大きく変わってしまう。

可能であれば、医師に処方の考え方を確認する。

 

・フェンタニル

重要な説明事項が多い薬である。

文章でまとめたものを用意し、可能であればご家族や看護の方にも聞いていただくのが理想である。

まず、オピオイドの使用経験の確認。

オピオイドの使用経験がない患者への使用は禁止されているためである。

(オピオイドは感受性の個人差が大きいため、初回は注射薬や経口薬など血中クリアランスが早い剤型で忍容性を確認するのが基本である。)

また、慢性疼痛で使用される場合は、確認書が必要である。

処方せんとともに専用の確認書が患者さんに交付されているので、提示をお願いする。

 

副作用は「過鎮静」「呼吸抑制」に注意するのだが、わかりやすく患者さんに伝えることが重要である。

たとえば、「息が苦しい」「息が浅くなる」など。

もしも、これらの症状に気付いたら、貼付剤を剥がし、主治医に連絡するよう説明する。

 

廃棄方法も重要である。

粘着面を中折にして捨てる。念のため、家族構成や同居人を確認する。幼児やペットに注意するためである。

また、慢性疼痛の場合は特に「人に渡すのは厳禁」を説明しておく。

(高齢者の場合は、特に注意する。)

 

その他の注意で重要なのは、貼付部位の温度である。

貼付部位の温度が上昇するとファンタニルの吸収量が増加する。

(皮膚の温度が3°上昇すると経皮吸収量が増加し、AUCが約25%増加すると考えられている。)

高温の湯、ストーブ、電気毛布、湯たんぽ、夏の炎天下などに注意するよう指導する。

 

 

 

[効能・効果]

同じ薬理作用を持つ製剤でも効能・効果が異なるケースがあるため、注意が必要である。

 

ニトロダームTTS  :狭心症

ミリステープ  :狭心症、急性心不全

フランドルテープ  :狭心症、心筋梗塞、その他の虚血性心疾患

 

エストラーナテープ  :更年期障害及び卵巣欠落による血管運動神経症状、泌尿生殖器の委縮症状、閉経後骨粗鬆症、
性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症

メノエイドコンビパッチ  :更年期障害及び卵巣欠落による血管運動神経症状

 

また、適応症により用量が異なるケースもある。

ニュープロパッチ  :パーキンソン病、中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群

※パーキンソン病の最大1日量は36㎎だが、特発性レストレスレッグス症候群では6.75㎎である。

 

 

 

[検査で注意すること]

かかりつけ医からの紹介で病院で精密検査を受けるパターンで注意したい。

 

アルミニウムやチタンなどの金属を支持体に使用している製剤は、MRI、ADE、ジアテルミー(高周波療法)に注意する。

ニトロダームTTS  :MRI、電気的除細動、ジアテルミー(高周波療法)

ニコチネルTTS  :MRI、電気的除細動、ジアテルミー(高周波療法)

ノルスパンテープ  :MRI

ニュープロパッチ  :MRI、電気的除細動、ジアテルミー(高周波療法)

 

 

 

[冷シップと温シップの使い分け]

一般的に、外傷や通風などの急性炎症では冷やしたほうがよく、腰痛や肩こりなどの慢性炎症では暖めたほうがよいとされている。

しかし、冷シップと温シップの使い分けについては、明確な基準はない。

冷シップの気化熱による冷却効果はそれほど大きいものではないため、急性の炎症で痛みが激しい場合には、シップの上から氷のうやアイスパックで冷やすほうが効果的である。

温シップの場合も暖める必要がある場合には、シップの上から使い捨てカイロなどで温めたほうが効果的である。

カプサイシンなどの皮膚を刺激する成分の効果で、皮膚の毛細血管が拡張して皮膚温が上昇するのだが、その効果はあまり大きくないためである。

また、カプサイシンなどの皮膚を刺激する成分のため、普通のシップよりもかぶれる人が多い。

そのため、患者さんの強い希望がなければ、勧めない医師も多い。

要するに、シップのタイプにかかわらず、冷やす場合も暖める場合も別のアイテムを使用するほうが効果的なのである。

 

 

 

[その他の貼付剤の説明・指導のツボ]

・過去に貼付剤でかぶれたか否かを確認する。

→一度でもアレルギー性接触皮膚炎を起こした薬剤は、その後ずっと、免疫システムに記憶される。

(貼付剤に限らない。)

(お薬手帳への副作用歴の記入は非常に大切である。)

 

・貼付剤を貼ったときに異常が生じた場合は、貼付剤を剥がし、できるだけ速やかに主治医に連絡するか、皮膚科を受診するよう指導する。

 

・用法どおりに貼る。

→漫然と何日も貼る(貼りかえずに)と皮膚がふやけて二次感染や炎症の原因になる。

 

・優しく、ゆっくり剥がす。

→角質層のダメージを少なくするため。

 

・剥がしたあとは、風呂などでよく洗って雑菌と薬剤を落とす。

 

・貼る場所をきちんと指示する。

→傷んでいる部分は一次刺激性接触皮膚炎になりやすいので、できるだけ健康な皮膚に貼る。

→例:ツロブテロール(気管支拡張薬)は「呼吸や咳が楽になる薬だから喉に貼らなければいけない」と思っている患者さんは、意外に多い。

 

・光アレルギー性接触皮膚炎の可能性がある貼付剤は、露光部の皮膚を避けて貼る。

→貼付剤を剥がしたあと、数カ月たってから光アレルギー性接触皮膚炎が起こる例もある。

季節に注意する。

→光アレルギー性接触皮膚炎を起こしやすい物質としては、ケトプロフェンが知られている。

 

・全身性貼付剤は、毎回貼る場所を変える。

→もちろん、皮膚を休めるためである。

 

・全身性貼付剤は、効果発現までに時間がかかることを説明する。

→自己判断で「効かないから、もう一枚貼っちゃえ。」を防ぐため。

 

・次の来局時に、貼付した部分の肌の状態を確認する。

 

 

 

[参考文献]

・塩原哲夫:貼付剤による皮膚へのトラブルとその対策、日本薬剤師会雑誌:第66巻 第9号 平成26年9月1日 P.1203-1207

・大谷道輝:経皮吸収剤 患者への説明のポイント、日本薬剤師会雑誌:第66巻 第4号 平成26年4月1日 P.395-401

・皮膚を科学する、Credentials No.22 July 2010 P.5-10

・全身性貼付薬の使い方指導、NIKKEI Drug Information 2014.02 P.25-37

・CLINICIAN 10 NO.590 P.640-642

・医学用語辞典 第18版(南山堂)

 

・各種薬剤の添付文書

ニトロダームTTS:2015年3月改訂版

ミリステープ:2014年8月改訂版

フランドルテープ:2014年7月改訂版

エストラーナテープ:2014年2月改訂版

メノエイドコンビパッチ:2015年1月改訂版

デュロテップMT:2013年6月改訂版

ワンデュロパッチ:2013年12月改訂版

フェントステープ:2014年6月改訂版

ニュープロパッチ:2015年7月改訂版

ニコチネルTTS:2015年3月改訂版

ノルスパンテープ:2013年3月改訂版

 

 

以上

 

 

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