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5 すご本
[すご本8 接客・接遇のためのユニバーサルサービス基本テキスト]
[すご本8 接客・接遇のためのユニバーサルサービス基本テキスト]
紀 薫子著(日本能率協会マネジメントセンター)
ユニバーサルサービスとは、年齢や性別、障害の有無にかかわらず、すべての人に公平に提供されるサービスである。
調剤薬局では、いろいろなタイプの患者さんが来局されるので、ユニバーサルサービスは必修テーマであるのだが、そのテキストはそれほど多くはない。
本書は、ユニバーサルサービスの基本を1冊で習得できる貴重なテキストである。
ゆえに、薬局開設者と管理薬剤師の方へオススメする。
内容は、各テーマ2ページの読み切りで構成されており、イラストを入れて親しみやすくしてある。
また、クイズ、ケーススタディ、理解度チェックにより、知識の確認ができるように工夫されている。
この構成については賛否が分かれるところだが、必要な知識だけがビッシリ羅列されているよりは、はるかに読みやすいと感じた。
情報量も適量であり、各タイプ別のサービスにおける要点が簡潔にまとめられているため、専門書に特有な取り組みにくさはない。
調剤薬局で、研修用テキストにするには、必要十分な質と量だと思う。
私はいろいろな障害について、深く勉強したことがなかったので、本書を読むことで目から鱗が何枚落ちたかわからない。
いくつか紹介しよう。
たとえば、視覚障害者の70%以上が弱視であること。
その人のために薬局にルーペを用意する場合は、倍率に注意すること。
※普通のルーペは2~3倍なのだが、弱視の人は5~20倍を使う。
聴覚障害者の人とコミュニケーションを取る場合、漠然と手話を思い浮かべる。
しかし、聴覚障害者の中で手話ができる人は、約19%であること。
つまり、筆談が多くの場合に選択されるので、大切なのは専門用語を使わずに簡潔な短文にすること。
また、筆記用具がない場合、携帯電話のメール作成画面を見せることで代用できることなど。
これまでの自分の患者さんへの対応を振り返って反省した。
大きな問題こそ起きたことはなかったが、この本の内容を知っていれば、患者さんにとってもっと快適なサービスが提供できたはずだ。
あらゆるタイプの患者さんに公平なサービスをするのは、薬局の義務である。
さらに、今後は、視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者、高齢者、認知症患者は増加していくだろう。
この手の本を読んでこなかった方には、一読することをオススメする。
=目次=
はじめに
Part1:ユニバーサルサービスを始めよう
第1章 ユニバーサルサービスの基本
1.ユニバーサルサービスとは
2.なぜ、ユニバーサルサービスが必要なのか
3.ユニバーサルサービスに取り組むために
第2章 ユニバーサルサービスに取り組むメリット
1.お客さまの満足と地域の活性化につながる
2. 組織・会社への評価を高められる
第3章 ユニバーサルサービスの実践に向けて
1.ユニバーサルサービスの「心」を考える
2.第一印象がポイントになる
3.ユニバーサルサービスの「レシピ」を知る
4.ユニバーサルサービスで笑顔が広がる
◎理解度チェック
●ケーススタディ①「店舗のリニューアル」
●ケーススタディ②「赤色のセーター」
●ケーススタディ③「持込みお断り」
Part2:視覚に不自由を感じる方へのサービス
第1章 視覚に不自由を感じていることへの理解
1.視覚障害とは
2.色覚障害とは
3.視力が低下した状態について考える
4.盲導犬の役割を理解する
第2章 視覚に不自由を感じている方の暮らし
1.全盲の人の暮らしを考える
2.弱視の人の暮らしを考える
3.色覚障害の人の暮らしを考える
4.視力が低下した人の暮らしを考える
第3章 視覚に不自由を感じている方への接客・接遇
1.迎え入れと案内の基本を知る
2.階段・エレベーターを使うとき
3.「クロックポジション」で場所を伝える
4.商品説明時や会計時の対応の基本
5.盲導犬を伴った人への接客・接遇の基本
◎理解度チェック
●ケーススタディ①「雨の日のお客さま」
●ケーススタディ②「店舗リニューアル後のお客さま」
●ケーススタディ③「代筆のお願い」
Part3:聴覚に不自由を感じる方へのサービス
第1章 聴覚に不自由を感じていることへの理解
1.聴覚に不自由を感じていることへの理解
2.難聴とは
3.聴覚障害の人の暮らしを考える
第2章 聴覚に不自由を感じている方への接客・接遇
1.コミュニケーション方法の基本を知る
2.来店時の接客・接遇の準備を知る
3.お客さまとのコミュニケーション方法を考える
◎理解度チェック
●ケーススタディ①「バラの花のお客さま」
●ケーススタディ②「お客さまの座る場所」
●ケーススタディ③「筆談のご質問」
Part4:肢体に不自由を感じる方へのサービス
第1章 肢体に不自由を感じていることへの理解
1.事故やけがによる肢体不自由とは
2.車椅子の機能を知る
3.杖、義手・義足の機能を知る
第2章 肢体に不自由を感じている方への接客・接遇
1.車椅子を使っている人への接客・接遇の基本
2.車椅子の介助の基本を知る
3.階段・エレベーターを使うとき
4.杖を使っている人への接客・接遇
◎理解度チェック
●ケーススタディ①「使えない優先駐車スペース」
●ケーススタディ②「車椅子でのショッピング」
●ケーススタディ③「お客さまの杖」
Part5:高齢者・認知症がある高齢者へのサービス
第1章 高齢であること・認知症の傾向があることへの理解
1.高齢とは
2.高齢者の暮らしを考える
3.認知症とは
第2章 高齢者・認知症のある高齢者への接客・接遇
1.コミュニケーション方法の基本を知る
2.迎え入れと案内の基本を知る
3.認知症がある高齢者への接客・接遇の基本
◎理解度チェック
●ケーススタディ①「週末の店内」
●ケーススタディ②「お客さまが座る椅子」
●ケーススタディ③「レジに並ぶお客さま」
Part6:お客さまに応じたサービス
第1章 さまざまなお客さまへの接客・接遇
1.妊娠中のお客さま
2.小さなお子さま連れのお客さま
3.外国人のお客さま
4.知的障害・発達障害・精神障害とは
5.知的障害・発達障害・精神障害のあるお客さま
6.言語障害のあるお客さま
7.内部障害のあるお客さま
◎理解度チェック
●ケーススタディ①「走り回る子どものお客さま」
●ケーススタディ②「読めないメニュー」
●ケーススタディ③「歩き回るお客さま」
巻末資料 ユニバーサルサービスに役立つ知識
①視覚障害者が不便に感じていること
②弱視者が不便に感じていること
③点字の読み方一覧表
④聴覚障害者が不便に感じていること
⑤指文字一覧表
⑥接客手話の基本
⑦車椅子の利用者が不便に感じていること
⑧車椅子のタイプと特徴
⑨車椅子の操作の基本
⑩杖を利用する人への介助の基本
★別冊
接客・接遇のためのユニバーサルサービス基本テキスト 解答・解説
以上
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5 すご本 ナビゲーション
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