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「手術室の中へ」-麻酔科医からのレポート-

弓削孟文(ゆげ おさふみ) 集英社新書

 

この本は、麻酔科の医師が、手術そのものをわかりやすく説明し、麻酔および全身管理について解説した書である。

一般の人向けに、手術そのものを解説した本は、非常にめずらしい。

近く手術を予定している人とそのご家族の方に、オススメの本である。

もちろん、手術そのものを勉強したい方は、必読である。

 

これは、確かに「目から鱗」のテーマである。

通常、患者さんやそのご家族は、手術の目的や術式についてはわかりやすく説明を受けるが、手術そのものについては知る機会が少ないからである。

手術を受けた本人ですら、麻酔が導入されるまでの記憶しかない。

人生において何度か関わる可能性がけっこう高いのに、わかっていないことなのである。

私も、家族や友人の手術説明に何度か立ち合ったことがあるのだが、手術自体はわかっていなかった。

これが、本書を読む動機になった。

 

内容もわかりやすく書かれており、無機質な説明一辺倒にならないように、「実例」を入れてアクセントとしている。

この本を読むと、手術とは危険な医療行為であるとともに、何が危険であるかが具体的にわかる。

そして、その危険に対して、必要な準備、役割、対策が講じられていることもわかるのである。

手術そのもののインフォームドコンセントと言ってよい。

 

また、麻酔科医の仕事についても勉強できる。

漠然としかイメージできていなかった麻酔という医療行為が、はっきりとした知識として入ってくる。

麻酔科医の大切な仕事である全身の管理について、このようにコンパクトでわかりやすいテキストはないだろう。

 

私がもっとも勉強になったのは、P.198「患者さんが医師に聞くこと」である。

手術が選択肢に入るような病気やケガで医師と話す機会を得たとき、どのようなことを聞けばよいのかがまとめてある。

これは、患者さんからの相談はもちろん、自分や自分の家族が手術するときにも大切な情報である。

 

「患者さんが医師に聞くこと」(本文より抜粋)

①病気の状態・ようすをしっかり聞く。

②その病気に対してどんな治療法があるか、それぞれの治療法のプラス面とマイナス面(メリットとデメリット)もあわせて聞く。

③その際、QOLの面を聞いておく。

④手術が選択肢としてあげられたとき、なぜ手術しなければならないかを聞く。

⑤手術するとして、どのような手術であるか確認する。

⑥同時に麻酔方法とその効果や安全性も確認しておく。

⑦回復時の問題点を聞く。特に術後の痛みとその対策について聞いておく。

⑧退院、完治などのメドとなる月日を聞いておく。

 

薬剤師の業務として、注意したいと思ったのは、やはり患者さんが服用している薬である。

術前の確認するべき情報として、服用薬剤に漏れがないように患者さんにアドバイスをしていきたい。

そのためには、やはり「お薬手帳」が鍵となるだろう。

 

新書(の値段)でこれだけの勉強ができる本は少ない。

すごい本である。

 

 

 

=目次=(章のテーマのみ掲載)

第1章 手術入門

第2章 手術室の中へ

第3章 麻酔をかけるということ

第4章 全身麻酔がもたらすもの

第5章 手術という「侵襲」がもたらすもの

第6章 手術からの回復

第7章 手術の決定から手術当日まで

第8章 手術前に情報を交換する

第9章 麻酔科医と手術専属看護師

 

 

以上

 

 

 

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[すご本14 医学統計の基礎のキソ]

 

 

 

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