[すご本14 医学統計の基礎のキソ]


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 5  すご本 

[すご本14 医学統計の基礎のキソ]

 

 

 

 

 

「いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎とキソ」1~3巻

浅井 隆著

(アトムス)

 

 

「いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎とキソ」は、「医療統計」の基礎をマスターするために書かれた全3巻のテキストである。

統計の本は非常に種類が多いが、この本はオススメするタイプがハッキリしている。

それは、統計の初心者である。特に、(私のような)ベテラン薬剤師の方にオススメしたい。

なぜなら、「医療統計」は薬剤師にとって必修のテーマなのに、大学で学んでないからだ。

現在では、薬学部の「医療統計」の授業は当たり前になっているが、私の時代には大学の科目にはなかったのである。

 

「医療統計」が医療分野で必修のテーマになった理由は、「EBM」である。

「EBM」は現代医療の基本的な考え方のひとつであるが、その本質は「統計」である。

根拠となる研究の質を評価し、結果を解釈できなければ、「EBM」の実践は難しい。

だから、大学時代に「医療統計」を学ばなかった薬剤師は、自分で一から勉強しなければならない。

そのような方に、自信を持ってオススメするのが本書である。

 

この本の最大の特徴は、「わかりやすく」「読みやすい」ことである。

私が読んだ同じ分野の本の中でも群を抜いている。

 

このシリーズの構成は、その章のテーマの紹介・説明→その章のまとめ→練習問題→解答と解説となっている。

それらは、読みやすい大きな字、簡潔な文で書かれている。

理解を促すための例や図表もシンプルでわかりやすい。

本文の区切りに「ここがPOINT!」として重要な事項がまとめられているのも助かる。

章立てのテーマの流れ-勉強していく順番も実に考えられている。

そのため、面白くないはずの統計についての解説が嫌にならずに読めるのである。

多くの専門書の欠点である「わかりにくい」「面白くない」が、見事に改善されている。

つまり、この本は初学者が理解しやすく読めるように工夫され尽くしたテキストなのである。

 

ただし、このような構成のため、1冊の情報量は多くはない。

(ゆえに全3巻のセットなのである。)

だから、「医療統計」の基礎を学んだ人は、内容を確認してから購入する方が良いだろう。

※この本は1冊2800円+税なので、全3巻揃えれば9000円近くかかる。

 

内容について簡単に紹介したい。

第1巻は、重要な統計用語が解説されている。

統計を学ぶ場合に用語の解説は避けて通れないが、もちろん無味乾燥な辞書的説明ではない。

さまざまな例と図表を駆使してわかりやすく解説してくれる。

その用語の意味を知るだけでなく、データの解釈ができるようになっているので、第1巻の内容だけでも医学論文の7~8割は理解できるのである。

 

第2巻は、医学研究の種類の解説とその種類ごとに研究結果を統計的にどう読み取るかがまとめられている。

どのような内容にどの研究が採択されるのか、その結果をどのように統計的に解釈するのかが理解できるようになっている。

この巻を読了したら、いろいろなタイプの研究論文を実際に読みたくなるだろう。

 

第3巻は、研究の質の評価法について紹介されている。

1・2巻で勉強した知識を使って、実際の統計結果を解釈する方法を解説している。

これがマスターできれば、日常業務で発生する臨床的疑問の答えを自分で探したり、医師への処方提案の根拠を用意するときに応用できる。

根拠にするべき研究結果の評価を自分で判断できる能力は、今後ますます重要になっていくだろう。

 

医療統計を勉強したいが何から読んだらいいのかわからない、あるいは過去に医療統計の本を読んだが理解できなかった人は、選択肢として考える価値があると思う。

なお、本シリーズは、初版は2010年5月であり、6年が経過した現在でもこの分野の人気ランキングでは上位に入っている。

(2016年10月のアマゾンにおけるランキングである。)

 

 

 

「いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎とキソ」1~3巻

浅井 隆著

(アトムス)

主な内容を章の見出しで紹介する。

 

=第1巻=

まずは統計アレルギーを克服しよう!

 

 第1部 統計比較の結果を読む

  第1章:そもそもなぜ統計が必要?

  第2章:P値のPってなに?

  第3章:有意差のつぎに知りたいこと

  第4章:仮説検定と信頼区間の密接な関係

 

 第2部 比較以外の統計を知る

  第5章:比較以外の統計って?

  第6章:平均

  第7章:ばらつき、分布

  第8章:得られた平均値から全体を見る

  第9章:得られた確率から全体を見る

 

 第3部 統計のプチエキスパート

  第10章:P値解釈の注意点

 

=第2巻=

結果の解釈ができるようになろう!

 

 第1部 研究の種類を知る

  第1章:研究の種類

  第2章:観察研究

  第3章:介入研究

 

 第2部 統計結果を読み取る

  第4章:統計結果の読み取り方

  第5章:相関

  第6章:回帰

  第7章:感度、特異度、陽性・陰性的中率

  第8章:相対危険度とオッズ比

  第9章:NNT

 

=第3巻=

研究の質を評価できるようになろう!

 

 第1部 研究の質を評価する

  第1章:文章は理路整然と書かれているか?

  第2章:研究の目的は明確か?

  第3章:目的に合った研究がされているか?

  第4章:対象者の選択は適切か?

  第5章:対象者数は十分か?

  第6章:盲検化比較検討がされているか?

 

 第2部 統計を適切に評価する

  第7章:統計の“ごまかし”を見破る!

  第8章:「有意差あり」を適切に解釈する

  第9章:「有意差なし」を解釈する

 

 第3部 エビデンスとして取り入れる

  第10章:“エビデンス研究”の選別

 

 

以上

 

 

 

次章 >> 随時更新していきます。

 

 

 

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