[すご本10 緩和治療薬の考え方、使い方]


前章 >> [すご本9 痴呆を生きるということ]

 

 

 

 5  すご本 

[すご本10 緩和治療薬の考え方、使い方]

 

 

[すご本10 緩和治療薬の考え方、使い方]

森田達也 著

白土明美 編集協力

(中外医学社)

 

緩和ケアの薬物療法に関するテキストである。

著者は、緩和医療分野の第一人者。

この本は、緩和ケア(薬物治療)に携わる医療関係者すべてに役立つが、特に以下の薬剤師にオススメする。

・自分の薬局に緩和ケアが必要な患者さんが来局した。

・緩和ケアの基本は勉強したが、ステップアップしたい。

・「在宅」の比率が高い薬局に勤めることになった。

 

私は、緩和ケアを以下の方法で勉強した。

①ガイドラインを読む。

②緩和ケアに使用される薬剤の情報をまとめる。

③臨床における実際の治療を勉強する。

 

①でガイドラインを勉強することにより、基本的な治療体系を学ぶ。

そして、②で治療に使用される薬剤の特徴と位置づけ、使い分けなどを整理する。

だが、これだけでは不十分である。

なぜなら、実際の現場では教科書通りにはいかないことが、日常だからだ。

そこで、③を勉強する。

実際の現場で、治療経験に基づく薬の使い方や問題点、対応などを学ぶのである。

従って、③のテキストは現場で治療を行っている専門医の本が望ましい。

 

この意味で「緩和治療薬の考え方、使い方」は、最高のテキストと言って良い。

このコンテンツの最後に目次を掲載したが、主要な薬剤がほとんど網羅されている。

エビデンスも豊富に取り入れられ、それに加えて実際の経験に基づく薬剤の使い方がわかりやすく紹介されている。

 

医薬の分野では、エビデンスレベルの高い情報、質の高い臨床研究の結果が「よい情報」であり、医薬関連書籍にはそれらの情報だけが掲載されているパターンも多い。しかし、この本は森田先生のご自身の考えを自分の言葉で語ったものである。

だから、このような本は貴重で珍しいと思う。

 

また、この本の特徴として「一般の医師にとって整理されにくい精神科領域」の記述が多い。

精神科領域が整理されにくいのは、精神科の門前以外の薬局に勤務する多くの薬剤師にとっても同様ではないだろうか?

「緩和ケア」を切り口として、精神科領域の薬剤情報を整理するのも有意義であろう。

 

緩和ケアのテキストを探している人は、この本は有力な選択肢になると思う。

ガイドラインで「型」を勉強した人が、「実戦」のための知識武装するテキストなのである。

 

 

 

【目次】

§ 1 痛みに対する薬

1.オピオイド総論

 A. ものすごく単純化したオピオイドのイメージ

 B. 古典的WHOラダーと現代版ラダー

 C. 現実的な使用パターン

 D. オピオイドの特性についてのエビデンスのまとめ

 E. オピオイドの特性に従った使い分け

 F. オピオイドの換算

 G. オピオイドの副作用対策

 H. EAPCの推奨と系統的レビューのまとめ

 I. 日本緩和医療学会の疼痛ガイドラインの推奨文

2.オピオイド各論

 Overview

 A. オキシコドン

 B. フェンタニル

 C. モルヒネ

 D. トラマドール

 E. メサドン

 F. レペタン

 

§ 2 痛みの治療薬:鎮痛補助薬

Overview

A. リリカ

B. トリプタノール

C. ケタラール

D. サインバルタ®

E. キシロカイン

F. テグレトール

 

§ 3 非オピオイド鎮痛薬

Overview

A. アセトアミノフェン

B. 経口NSAIDs:ロキソニン・ナイキサン®・モービック®

C. 非経口NSAIDs:ボルタレン坐薬、ロピオン®

 

§ 4 呼吸困難の治療薬

Overview

A. モルヒネ

B. ノバミン

C. 抗コリン薬

 

§ 5 嘔気嘔吐の治療薬

Overview

A. プリンペラン

B. ノバミン

C. 抗ヒスタミン薬(クロール・トリメトン®・トラベルミン)

D. 多次元受容体拮抗薬(MARTA)・ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

 

§ 6 食欲不振の治療薬

Overview

A. ナウゼリンと六君子湯

B. ステロイド製剤:リンデロン®、ヒスロンH

C. いろいろな組み合わせとEPA製剤

 

§ 7 消化管閉塞の治療薬

Overview

A. サンドスタチン

B. ブスコパン

 

§ 8 便秘の治療薬

Overview

A. カマグ(マグミット)

B. プルゼニド

C. ラキソベロン

D. モニラック、ラクツロース

E. オピオイド開始時

F. 便秘に有効な漢方薬

G. ちょっとかわった方法

H. 新しい下剤:アミティーザ

 

§ 9 倦怠感・眠気の治療薬

Overview

A. 精神賦活薬:リタリン・モダフィニル・ベタナミン

B. 眠気に対するその他の薬

C. リンデロン®

 

§10 不安・抑うつの治療薬

Overview

A. ベンゾジアゼピン系抗不安薬:ソラナックス、ワイパックス®、リボトリール

B. SSRIとSNRI

C. 鎮静系抗うつ薬:トリプタノール・テトラミド・リフレックス

 

§11 不眠の治療薬

Overview

A. 超短時間作用型睡眠薬:マイスリー、アモバン

B. 短時間作用型睡眠薬:レンドルミン®

C. 中時間作用型睡眠薬:ロヒプノール

D. デジレル

 

§12 せん妄の治療薬

Overview

A. セレネース

B. セロクエル

C. リスパダール

D. コントミン

E. ジプレキサ、ルーラン®、エビリファイ

F. テトラミド

 

§13 鎮静の治療薬

Overview

A. ドルミカム

B. フェノバール®

C. 坐薬で使用する鎮静薬:セニラン®、ダイアップ、ワコビタール

 

資料

A. 聖隷三方原病院麻薬フォルダオーダーセット

B. 緩和ケア病棟入院時指示の一覧

C.  院内製剤と個人輸入薬

 

column

 NNTとNNH

 緩和ケアにおける有効率の定義

 テトラミド坐薬の調剤方法

 

索引

 

 

以上

 

 

 

次章 >> [すご本11 認知症患者の摂食・嚥下リハビリテーション]

 

 

 

5 すご本 ナビゲーション

[すご本 前口上]

[すご本1 「手術室の中へ」-麻酔科医からのレポート-]

[すご本2 抗精神病薬の「身体的副作用」がわかる]

[すご本3 言葉で治療する]

[すご本4 なぜエラーが医療事故を減らすのか]

[すご本5 コレステロール 嘘とプロパガンダ]

[すご本6 驚きの介護民俗学]

[すご本7 呼吸器の薬の考え方、使い方]

[すご本8 接客・接遇のためのユニバーサルサービス基本テキスト]

[すご本9 痴呆を生きるということ]

[すご本10 緩和治療薬の考え方、使い方] ←今ココ

[すご本11 認知症患者の摂食・嚥下リハビリテーション]

[すご本12 ヘルプマン!]

[すご本13 身体のいいなり]

[すご本14 医学統計の基礎のキソ]

 

 

 

↓ もし良かったら、この記事をシェアしていただけると嬉しいです。