[薬剤師が知っておくべきこと3 廃棄]


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 4  薬剤師が知っておくべきこと 

[薬剤師が知っておくべきこと3 廃棄]

 

 

[廃棄]

今回は、たまに発生する「麻薬」「向精神薬」「覚せい剤原料」の廃棄手続を紹介する。

(いかにも手続が必要そうな、「毒薬」「劇薬」の廃棄については特別な規定はない。念のため。)

 

まず、自分が住んでいる都道府県のサイト中の、「麻薬」「向精神薬」「覚せい剤原料」の取扱いマニュアル(手引きとなっている場合もある)を探す。

たとえば、名古屋に住んでいる場合は、「愛知県」のサイトを開く。

ホーム>機関組織-県庁の各所属>本庁期間の組織表(各課室等)-「健康福祉部」と進んでいく。

健康福祉部の中の「医薬安全課」を開けると、「医薬品等の安全確保対策」があり、その中にPDF「医療機関及び薬局における麻薬、向精神薬、覚せい剤原料の手引きについて」というマニュアルにたどり着く。

同じ「医薬安全課」の中に「営業許可申請・届出、各種許可申請・届出等様式ダウンロード」がある。

これは、許可・申請・届出の一覧であり、マニュアルとセットで使うことが多いので、「医薬安全課」の一覧ページをブックマークしておくとよい。

これが大切なポイントである。

※「愛知県」の場合だけなのかもしれないが、県のサイトは非常にわかりづらい。

ホームページから探すより、グーグルで「愛知県×麻薬×マニュアル」で検索したほうが効率的である。

 

もう一つ重要なのは、担当部署の連絡先を確認しておくこと。

マニュアル中の疑問点を解決するためだ。

ちなみに愛知県では、健康福祉部健康医療局医薬安全課「毒劇物・麻薬・血液グループ」である。

この直通ダイアルを薬局の電話帳(もしくは、麻薬・覚せい剤原料管理帳簿)に登録しておこう。

 

各都道府県で用意している「麻薬」「向精神薬」「覚せい剤原料」の取扱い手引きは、提出先や担当部署以外の本文は原則同じである。(当たり前だが。)

それでは、愛知県のマニュアルに記載されている「廃棄」の部分を抜粋する。

 

[医療機関及び薬局における麻薬・向精神薬・覚せい剤原料取扱いの手引き]

平成27年

愛知県健康福祉部保健医療局医薬安全課

 

・薬局における麻薬管理マニュアル

第6 廃棄(法第29条、法第35条第2項)

麻薬を廃棄する場合は、麻薬の品名、数量等について、都道府県知事に「麻薬廃棄届」により届け出て、麻薬取締員等の立ち会いの下に行なわなければなりません。また、麻薬処方箋により調剤された麻薬については、廃棄後30日以内に都道府県知事に「調剤済麻薬廃棄届」により届け出なければなりません。

 

1 廃棄の手続き

(1) 陳旧麻薬等の廃棄(法第29条)

古くなったり、変質等により使用しない麻薬、誤調剤(誤調製)により使えなくなった麻薬等を廃棄しようとするときは、あらかじめ「麻薬廃棄届」を、保健所(名古屋市内にあっては医薬安全課)に届け出た後でなければ廃棄することはできません。廃棄は麻薬取締員等の指示に従ってください。

 

(2) 麻薬処方箋により調剤された麻薬の廃棄(法第35条第2項)

麻薬処方箋により交付された麻薬を、患者の死亡等により遺族等から譲り受けた場合は、麻薬小売業者(薬局開設者)自ら、若しくは管理薬剤師が、他の薬剤師又は職員の立ち会いの下に廃棄してください。

廃棄は、焼却、放流、酸・アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等、麻薬の回収が困難で適切な方法によってください。

また、廃棄後30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」により保健所(名古屋市内にあっては医薬安全課)に届け出てください。

なお、30日以内であればその間の複数の廃棄をまとめて一つの届出書で提出しても差し支えありません。

さらに、麻薬帳簿にその旨を記載するか、廃棄用の補助簿を作成して記録する必要があります。

 

 

・薬局における向精神薬取扱いの手引き

第7 廃棄(法第50条の21)

(1) 向精神薬の廃棄について、許可や届出の必要はありませんが、第1種及び第2種向精神薬を廃棄したときは記録が必要です。(※第9 記録の項参照)

(2) 廃棄は焼却、酸、アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等、向精神薬の回収が困難な方法により行ってください。

 

※第9 記録(法第50条の23、施行規則第42条)

第1種向精神薬又は第2種向精神薬を譲り受け、譲り渡し、又は廃棄したときは、次の事項を記録し、この記録を最終記載の日から2年間保存しなければなりません。

(1) 向精神薬の品名(販売名)、数量

(2) 譲り受け、譲り渡し、又は廃棄した年月日

(3) 譲受け又は譲渡しの相手方の営業所等の名称・所在地

 

(注)

ア) 患者への向精神薬の交付、患者に交付された向精神薬の返却、返却を受けた向精神薬の廃棄については、記録の必要はありません。

イ) 同一薬局内の向精神薬小売業者の記録と向精神薬卸売業者の記録は別にする必要があります。両者の間に譲受け、譲渡しがあった場合はそれぞれ記録してください。

ウ) 向精神薬の記載された伝票の保存をもって記録に代えることができますが、向精神薬が記載されていない伝票とは別に綴ってください。

エ) 第3種向精神薬については、記録義務はありませんが、譲受けについて記録し、定期的に在庫確認をすることが望ましいです。

 

 

・覚せい剤原料取扱いの手引き

第8 廃棄届(法第30条の13)

(1) 病院若しくは診療所の開設者、往診医師等又は薬局開設者は、所有する医薬品である覚せい剤原料を廃棄しようとするときは「覚せい剤原料廃棄届出書」により当該医薬品である覚せい剤原料の保管場所の所在地を管轄する保健所(名古屋市内にあっては医薬安全課)に届け出て、覚せい剤監視員の立ち会いの下に行わなければなりません。なお、この際、当該監視員の身分を示す証票の提示を求めて相手方を確認してください。

 

(2) 入院患者の死亡や処方変更等により病棟に残存された医薬品である覚せい剤原料や調剤中に発生した残り(例:1錠を半分に割り残った半錠)については、病院等の開設者が覚せい剤原料廃棄届出書を提出し、覚せい剤監視員の立ち会いの下で廃棄してください。

 

(3) 外来患者やその家族等が、不用となった医薬品である覚せい剤原料を持参した場合には、譲り受けることはできませんので、持参した者自らが廃棄するよう指導してください。その際に、患者又はその家族等が行う廃棄を補助することは差し支えありません。

 

(4) 他の病院等で交付を受けた医薬品である覚せい剤原料を持参し入院した場合、患者又はその家族等が管理し継続して施用する場合は問題ありません。しかし、当該患者が、処方変更等により施用を中止する場合は、患者又はその家族等の責任の下で管理してもらうか、又は廃棄するよう指導してください。
患者が持参した医薬品である覚せい剤原料を患者から譲り受けることはできませんが、患者又はその家族が行う廃棄を補助することは差し支えありません。

 

※1 開設者が国、地方公共団体若しくは法人の場合には、届出者の氏名は当該施設の長の職名、氏名(法人の場合、名称、当該施設の長の職名、氏名)を、届出者の住所は当該施設の所在地を記載し、公印又は公印に準じるもの(覚せい剤原料専用印等)を押印しても差し支えありません。

※2 届出者が死亡、解散などした場合、相続人、清算人などが届け出ることになります。

 

 

 

[マニュアルのワンポイント解説]

・向精神薬については、許可や届出の必要はない。ただし、1種と2種については、廃棄の記録が必要である。

自分の薬局で採用されている1種と2種の薬剤は把握しておこう。

 

・麻薬について重要なのは、廃棄のパターンが大きく2つに分かれることである。

1つ目は、①期限切れなどの理由で廃棄する場合であり、2つ目は、②処方せんにより交付された麻薬をやむを得ない理由(患者さんの死亡など)により薬局で廃棄する場合である。それぞれ、提出する廃棄届が異なっている点に注意する。

①期限切れの場合は薬局で廃棄してはならない。→「麻薬廃棄届」を提出→担当職員立会のもとで廃棄する。

②調剤済の麻薬を薬局で廃棄する場合。→廃棄後30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」を提出する。

 

・麻薬の廃棄の方法

焼却、放流、酸やアルカリによる分解、他の薬品との混合など。要するに二度と使えないように廃棄する。

→麻薬の廃棄に関しては、オススメの資料がある。

東京都福祉保健局が掲載している「医療用麻薬廃棄方法推奨例一覧」である。

 

・覚せい剤原料で重要なのは、患者さんから「薬(覚せい剤原料の)が不要になったので薬局で捨ててほしい。」と言われたときである。

薬局は、覚せい剤原料の返納受け入れはできない。ここは、麻薬と異なる点である。

したがって、患者さんには原則お断りをするのだが、「廃棄を補助」することは差し支えない。

患者さんにお断りするだけではなく、保健所や県の担当部署に患者さんが行う廃棄の方法や薬局が実施できる補助を確認し、患者さんの力になろう。

 

 

 

[麻薬全般についての問い合わせ先]

麻薬については、在宅が進むにつれて取り扱う機会も多くなる。

日本緩和医療学会に掲載されている麻薬全般に関する問い合わせ先を示す。

 

麻薬の取り扱い等で不明な点については、

①最寄りの保健所

②各都道府県の薬務課もしくは地方厚生(支)局麻薬取締部

 

麻薬を取り扱う際の資料

・「 病院・診療所における麻薬管理マニュアル」(平成18年12月/厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課)

・「 薬局における麻薬管理マニュアル」(平成18年12月/厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課)

・「 麻薬・向精神薬・覚せい剤管理ハンドブック 第8版」(財団法人 日本公定書協会 監修/じほう)

・「 医療用麻薬適正使用ガイダンス―がん疼痛治療における医療用麻薬の使用と管理のガイダンス」(平成21年3月/厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課)

 

 

以上

 

 

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