前章 >> [第4章 わかりやすくする工夫]
3 コミュニケーション
[第5章 高齢の患者さんへの説明]
高齢者の場合は、「やや低いトーンで」「ゆっくり話す」
一般に、耳の組織の老化は、30歳代前半から両耳同時に始まる。
加齢に伴って、組織の変性・消失が進んでいくうちに、徐々に聞こえやすさに支障が生じてくる。
このような老化に伴う聴力の低下を「老人性難聴」といい、次のような特徴がある。
・高い音が聞き取りにくい。
・言葉を聞き分ける力が低下する。(特に「サ行」や「タ行」)
そのため、音は聞こえていても、相手が話した言葉とは違う言葉に聞こえるという現象が起こってくる。
・早口がわかりにくい。
高齢者に説明する場合は、やや低めのトーンでゆっくり大きめの声で話す。
できるだけハッキリ発音し、わかりづらそうな様子であれば、別の言葉で置き換えて再度説明する。
患者さんの薬識や服用上の注意の理解度が心配される場合は、第6章の説明の工夫を追加する。
判断のコツだが、高齢の新患さんの場合、名前をお呼びしたときの反応を注意深く観察する。
また、補聴器の有無を併せて確認する。
処方内容を調べて、認知症関連薬剤または向精神薬が出ているかどうかを見ておく。
高齢であればあるほど、コミュニケーションを密にして、できるだけいろいろな情報を入手しておく。
たとえば、服薬補助をしていただける方(ご家族、ヘルパーさんなど)の有無である。
薬学管理上の問題が発生したときに、役立つことが多いからである。
以上、第3章~第5章までは、患者さんへの説明における基本的な方針や原則を考察した。
第6章では、わかりやすく説明するための具体的な工夫を紹介する。
次章 >> [第6章 説明の工夫]
3 コミュニケーション ナビゲーション
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