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2 管理薬剤師の裏技
[掃除のススメ]
掃除については、薬局ごとにルールがある。
業者に依頼する場合もあり、輪番制でスタッフが実施する薬局もあるだろう。
しかし、もしできるなら、管理薬剤師のあなたが先頭にたって掃除をしてほしい。
朝、少しだけ早く出勤し、掃除をしてみてほしい。
これは、業務の効率化や科学的なマネジメントの話ではない。
私個人の経験からのささやかなアドバイスである。
私は、おせじにも優秀とは言えない管理薬剤師であった。
開局当初は、ミスを連発し、うまく服薬指導できず、自分の実力の無さを痛感して落ち込んだ。
自信を失いかけたときに、その患者さんはやってきた。
私は、開局当初から開始時間の1時間30分前には出勤し、毎朝掃除をしていた。
その日もいつものように掃除をしていると、ふらりとYさんが入ってきた。
Yさんは、門前のクリニックに昔から通院している高齢の患者さんである。
用件をたずねると、体の調子がすぐれないのでどうしたらよいかを相談しにきたとのこと。
私は、ゆっくりYさんの症状を聞き、薬歴を確認した。
幸い救急車を呼ぶほどの切迫した症状ではなかったので、念のために門前のクリニックを朝一で受診してくださいと告げた。
私は、ふと疑問を感じて彼女に聞いた。
「なぜ、直接、門前のクリニックに行かなかったのですか?」
「あんたが一番信用できるからね。」
「私が一番信用できるのですか?」
「あんたは、一番下っ端でもないのに、一番先に来て、毎日掃除している。」
その後、朝の掃除に関してはいろいろな方(多くの患者さんはもちろん、門前の先生の奥様、代理店の配送の人まで)からほめていただいた。
朝の掃除は、決してねらってやったわけではない。心構えとしてやっただけなのだ。
それが結果的に、幾人かの患者さんの信頼の礎になり、立ち直るきっかけになった。
毎朝、掃除をし、残りの時間で勉強や調べものをする。これが積み重なり、ほんの少し自信を取り戻していく。
あなたが、管理薬剤師として自信を失くしかけたら、「掃除」という裏技を思い出してみてほしい。
努力しているあなたを必ず誰かが観ている。
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