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2 管理薬剤師の裏技
[日々の業務の裏技]
・記録する&確かめる
あなたの薬局の問題は何か?
調剤室の薬の棚が不足している。処方せんの入力ミスが多い。
あなたが問題だと思ったことは、メモしよう。
そして、必ず検証してほしい。
薬の棚を点検したか?処方されていない薬または1例だけしか処方されていない薬の棚はないか?
処方せんの入力ミスは本当に多くなっているか?特定のスタッフに発生していないか?
人間は、自分がトラブルに巻き込まれたときには、過大評価してしまうものである。
わずかな工夫で解決することや勘違いで大きな問題にするのは避ける。
また、問題にすることでスタッフのプライドを傷つけることがないように配慮すること。
しかし、問題に目をつぶるのは、もっともよくないことである。
・薬局・薬剤師への苦情
あなたは、「薬局・薬剤師への苦情」が毎年、日本薬剤師会のサイトに掲載されることをご存じだろうか?
レポート名は、「国民・患者から寄せられた意見・苦情など(平成○○年度)」
患者さんが薬局のどんなことに腹を立てるのか。薬剤師のどんな態度に文句を言うのか。
患者さんが、薬剤師や薬局をどのように見ているかを勉強できる数少ない素材である。
毎年チェックしていると、苦情の内容も変化し、多様化しているのがわかる。
大きな問題が生じる前に注意するべき点を確認できる意義は大きい。
私の薬局では薬局全体の研修資料として使用していた。
まさに「人のふり見て、我がふり治せ」と「転ばぬ先の杖」である。
・個別指導の記事
あなたの薬局が日本薬剤師会に入っているなら、日本薬剤師会雑誌が届けられるはずだ。
その雑誌に「最近の指導監査の状況について」(平成○○年度社会保険指導者研修会資料より抜粋)という記事が掲載されることがある。
個別指導における指摘事項が3~4頁のボリュームでまとめられている。
この内容が自分の薬局を点検するのに最適な資料となる。
それほど大きなボリュームではないので、すべて目を通して、自分の薬局で当てはまることがないかを確かめる。
もしも、該当する部分があった場合は、改善のチャンスである。
この資料が根拠なら、門前の医師にも処方内容の相談がしやすいからだ。
ちなみに個別指導の選定は、原則として調剤報酬明細書の1件当たりの平均点数が高い保険薬局が対象となる。
あなたの薬局の平均点数が高いのなら、直接的な個別指導対策にもなるだろう。
もしも、あなたの薬局が日本薬剤師会に入っていなくても(この雑誌が入手できなくても)他の方法がある。
各地方厚生局のサイトに「個別指導での主な指摘事項」が掲載されているのだ。
薬剤師会の研修等で「指導・監査」がテーマに企画される場合もある。
もしも、案内が来たら、迷わずに出席しよう。
印刷物には乗らない貴重な情報がゲットできるからだ。
・知り合いの管理薬剤師を確保する
あなたの薬局に問題が生じたとき、解決法を考える工夫はいろいろある。
しかし、一番手っ取り早いのは、他の薬局はどうしているかを聞くことである。
このような情報交換できるネットワークが形成されていると、心強いものである。
法的な問題ではないが、どうすればよいか悩む問題がある。
たとえば、液剤や軟膏の容器の預り金をいくらに設定するかである。
このような場合も、他の管理薬剤師とネットワークができていると大変役立つ。
もっとも効果的なのは、調剤報酬改定時の対応であろう。
情報交換できる他の管理薬剤師-薬友-を作っておこう。
・研究会・講演会
講演会、研究会に関してとっておきの裏技を紹介しよう。
それは、門前の医療機関の医師と同じ集会に出席することである。
大切なことは、会終了後、必ず先生とディスカッションすること。
例えば、未採用の薬の使い方が紹介されていた場合は、その薬を使用する意志があるかどうか確認する。
もし、医師がその薬を使うのなら、採用・取り寄せの打ち合わせをする。
医師の治療に関する考え方(治療の対象など)や対象の患者さんも聞けるので、その薬の規格や発注量もその場で解決できる。
また、処方する目的や病態がかなり明確なので、服薬指導もやりやすい。
医師にとっても打ち合わせ済みのため、安心して処方できよう。
まさに一石をもって二鳥を落とすのである。
この裏技を実行するためには、医師の参加情報を教えてもらうために、日頃からMRとの関係性をよくしておく必要がある。
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