医薬品卸管理薬剤師の縁側日記 ③目からウロコ


医薬品卸管理薬剤師の縁側日記 ③目からウロコ

○月○日

あるMSから相談を受けた。
担当している内科クリニックのドクターからの相談である。
「患者さんから、ステロイドの○○軟膏をたくさん処方してほしいと言われた。どのくらいの量なら、レセプトが通るかを教えてほしい。」

保険審査上の質問・相談の解答は比較的簡単である。答えは、「用法・用量」については、添付文書記載の用法用量のみがセーフ。
当たり前だろと思うかもしれないが、保険審査についての解答は、卸はもちろん製薬メーカーでも確約できる返答はできない。
「ある県では●●の量が通っています。」と情報を入手しても、この地区では大丈夫かどうかなどわからない。

さて、私に相談したMSもベテランなので、上記の事情は承知している。では、なぜ相談してきたのか?
それは、上手い対応の仕方を相談したかったのだ。

急ぎの相談ではなかったので、念のためにメーカーに確認してみた。
正直、あまり期待はしていなかったが、メーカー担当者の説明を聞いた私の目からウロコがパラパラと落ちていった。

そのメーカーの担当者は、このように教えてくれた。
「疾患、重症度、患部の範囲、用法によって使用量が異なるため、レセプトが通る処方を量的に答えることはできません。」
予想通りの答え、まったくの正論である。
「ただし、必要な量を処方するという考え方があります。」

「例えば、この薬のフィンガー・チップ・ユニット※は0.2~0.3g(製剤は5gチューブ)。量的には大人の手のひら1枚分です。軽症なら1日1回の塗布。これを基準に患者さんの必要量を割り出せば、次の診察日までに必要な量を処方することができるはずです。」

患部の範囲から薬の一回量を割り出し、用法と日数をかければ必要量がはじき出される。
この量は、その患者さんの薬物治療のために必要な量であり、その量の明確な根拠になる。

言われてみれば、当然のことであった。
私はこのメーカーの担当者に心から感謝した。
いったい、私の目には何枚のウロコがあるのか?
患者さんに最適の治療をすることが何よりも大事なのに、「どうやったらレセプトを通せるか」の発想しかなかった自分を恥ずかしく思った。

この答えはMSを通してドクターにフィードバックされ、大変感謝された。

今日も貴重な勉強をさせていただきました。

以上

[補足]
「フィンガー・チップ・ユニット」
FTU(フィンガーチップユニット)は軟膏やクリームなどの塗り薬の目安。軟膏の場合、FTUは大人の人差し指の一番先から第1関節に乗る量で、約0.5gに相当する(チューブの穴の直径が5mm程度の場合)。これを1FTUと呼び、大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができる(体表面積の約2%)。
上記の製剤は5gチューブで穴の直径が短いため、FTUが0.2~0.3gになる。

マルホ 「外用薬の上手な使い方」より
http://www.maruho.co.jp/kanja/atopic/external/