コロナの復習⑥コロナ感染症の重症化リスク因子


コロナの復習⑥コロナ感染症の重症化リスク因子

新型コロナ感染症で、どんな方が重症化しやすいかは、とても重要な情報です。

重症化しやすい因子は、「重症化リスク因子」と言われています。

たとえば、自分や家族がコロナ感染症のワクチン接種を判断するときにも必須ですね。

ところが、この重症化リスク因子は、「聞いたことがあるのに、すべては思い出せない」といった情報の代表です。早速、復習しておきましょう。

なお、この重症化リスク因子は、現在進行形でデータが蓄積していますので、今後の研究・報告等によって、変更・追加される点に注意が必要です。

まず、「新型コロナウイルス感染症の手引き 7.2」2022年2月版から、現在の重症化リスク因子を挙げてみます。

[重症化リスク因子]

・65 歳以上の高齢者

・脂質異常症

・悪性腫瘍

・肥満

・慢性閉塞性肺疾患 (BMI 30 以上 ) (COPD)

・喫煙

・慢性腎臓病

・固形臓器移植後

・糖尿病の免疫不全

・高血圧

・妊娠後半期

評価中の重症化リスク因子

・ステロイドや生物学的製剤の使用

・HIV 感染症 ( 特に CD4 <200 /µL)

改めて見直すと、結構多くの種類があるものですね。

さて、ネットで「コロナ重症化リスク因子」を検索するといろいろな記事が見つかりますが、実は記事によって重症化リスク因子の数が少し違っていることがあります。これは、時間の経過(新しい研究や報告)によって因子が変化することと別の団体が提唱しているリスク因子を根拠としていることなどが原因のようです。

たとえば、「高血圧」。

手引きでは、重症化リスク因子として、そのものズバリ「高血圧」と掲載されていますが、日本高血圧学会は「高血圧それ自体により、重症化しやすいということはありません」と学会としての見解を出しています。

これは、血圧が高くなることによって血管の内皮障害や臓器障害を起こし、その結果として重症化しやすくなることを意味していると思います。

それにしても、混乱しやすいですね。

〈参考資料〉

日本高血圧学会がおくるあなたのための新型コロナウイルス対策

https://www.jpnsh.jp/data/corona_general202009.pdf

それでは、重症化リスク因子の中で各因子に関連する記事をご紹介します。

(私は東海地方在住で、中日新聞をとっています。)

[肥満]

・中日新聞 2021年3月6日朝刊

肥満問題に取り組む研究団体「世界肥満連盟」(本部ロンドン)は、2021年3月、世界の新型コロナウイルスによる死者約250万人のうち約9割に当たる220万人が、人口の50%超が肥満に分類される国に集中していたと報告しました。

肥満の成人が人口の50%を超える国は、50%未満の国よりも死亡率が10倍以上でした。

世界保健機関(WHO)のデータ分析から、肥満の指標である体格指数(BMI)の成人平均値が25未満の国で新型コロナによる死亡率が高い国はないと指摘しています。

・中日新聞 2020年5月18日朝刊

リバプール大は、約17000人を対象に調査したところ、肥満度の目安となる体格指数(BMI)が30超の人は30以下の人に比べ、死亡するリスクが3割以上高まると分析しています。

オックスフォード大の調査でも同様の傾向がみられました。

・肥満についての補足

ご紹介した記事の中で、体格指数(以下、BMI)と言う言葉が出てきますが、その数値は「25」「30」の2種類がでてきます。これは、肥満の判定基準が国によって異なるためです。

肥満は、BMIによって判定されます。BMI(ボディ・マス指数とも言います)は、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値で、わが国では18.5以上25未満であれば普通体重、18.5未満なら低体重(やせ過ぎ)で、25以上の場合が肥満に分類されます。さらにBMIが35以上になると高度肥満に区分されます。

計算方法は世界共通ですが、肥満の判定基準は国によって異なり、WHO(世界保健機構)の基準では30以上を”Obese”(肥満)としています。

〈参考資料〉

日本肥満学会

http://www.jasso.or.jp/contents/wod/index.html

[妊娠]

・中日新聞 2021年8月13日朝刊

米疾病対策センター(CDC)は2021年8月妊娠中の女性が新型コロナワクチン接種を受けても、流産のリスクは高くならないとする調査結果を公表しました。そのうえで、妊娠中または最近まで妊娠していた女性へのワクチン接種を勧告しました。

CDCによれば、妊娠中や妊娠終了後42日以内に新型コロナに感染すれば重症化しやすいうえ、妊娠中の感染で早産のリスクが高まることが分かっています。

・中日新聞 2022年1月20日

国立成育医療研究センターなどのチームは、新型コロナウイルスに感染した妊婦が、酸素吸入が必要となるような中等症以上になる割合は同年代の妊娠していない女性と比べて約2倍になることを公表しました。

妊婦の新型コロナの症状に関して、国内の大規模な報告は初めてです。

2020年1月~2021年4月のデータベースに登録された15歳以上45歳未満の女性入院患者約4000人を分析しました。

中等症から重症となった妊婦のうち、妊娠初期は6.9%、中期は34.5%、後期は58.6%と中期以降が多いこともわかりました。

「新型コロナウイルス感染症の手引き 7.2」には載っていませんが、重症化に遺伝的な特徴があることが新聞で報道されていました。ご参考までに紹介します。

[その他]

・中日新聞 2021年5月18日朝刊

慶応大や京都大などのチームは日本人で新型コロナウイルス感染症の重症化に関わる遺伝的特徴を見つけたことを発表しました。

65歳未満でこの遺伝的特徴を持つ人は重症化リスクが約2倍高いと言われています。

この研究チーム「コロナ制圧タスクフォース」は、2020年5月に異分野の専門家により立ち上げられ、国内での多施設共同研究を実施するのみならず、国際共同研究グループCOVID-19 Host Genetics Initiativeによる世界最大のCOVID-19のゲノムワイド関連解析にも参加し、研究を進めました。

国内で新型コロナに感染した患者3400人からデータを収集。65歳未満の重症者と健康な人の遺伝的特徴を比較しましたところ、免疫に関わる「DOCK2」と呼ばれる遺伝子の近くに特定の変異があることを突き止めました。この変異は、日本人の2割でみられるとのことです。

〈参考資料〉

京都大学

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-07-30-2

この記事が、あなたのコロナの勉強のお手伝いができますように。

(このコンテンツは、2022年7月31日現在の内容です。)

以上