[がん疼痛緩和ケアPLUS]③がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 


[がん疼痛緩和ケアPLUS]③がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン

このコンテンツでは、日本緩和医療学会の「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」2020年版の中で、薬剤師が知っておくべきポイントを整理する。
特にオピオイドの調剤をするうえで、重要度が非常に高い内容を絞って整理した。

※文中で「ガイドライン」とあるのは、「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」日本緩和医療学会 2020年版のことである。

この章の目次

[オピオイドスイッチング]
[オピオイドの副作用]
[オピオイドの相互作用]
[NSAIDsの薬物相互作用]
[オピオイドの依存]
[患者のオピオイドへの認識]
[最後に]

[オピオイドスイッチング]
オピオイドの副作用により鎮痛効果を得るだけのオピオイドを投与できない時や、鎮痛効果が不十分な時に、投与中のオピオイドから他のオピオイドに変更することを「オピオイドスイッチング」という。
薬剤師にとって、変更されたオピオイドの用法・用量が適切かどうかを確認することは非常に重要であり、慎重に行わなければならない。
また、患者さんの状態によっては、剤型の提案も必要になるため、オピオイドの変更に関する基本的な事項は必須といってよい。

オピオイドの変更する際の基本は、投与中のオピオイドと変更するオピオイドが同じ効果を示すように、投与量を調節することである。
具体的な作業としては、換算表を用い、計算上等価になる量を目安にする。これに、年齢、症状、オピオイドの体内動態プロフィール、剤型を考慮して処方を計算する。
オピオイドの効力換算比に関しては、通常モルヒネの経口剤を基準とした量で示されるが、多くの報告があるため、その数値はばらつきがあるのが実状である。
そのため、ガイドラインの換算表を基に検討するのが正道であろう。ガイドラインの換算表は、各種ガイドラインなどの換算表をもとに検討し、使用しやすいと思われる数値が示されているためで、いろいろな換算表のスタンダードと考えてよい。

オピオイドスイッチングの適応は、次の2点が代表的である。
 
 ・副作用が強くオピオイドの投与や継続や増量が困難な場合
 ・鎮痛効果が不十分な場合

薬剤師として知っておきたいのは、「オピオイドは、不完全交叉耐性の物質である。」こと。
交叉耐性とはある生物が、1種類の薬物に対して耐性を獲得すると同時に、同じような構造をもつ別の種類の薬剤に対する耐性も獲得してしまうことをいう。異なる種類のオピオイドはこの交叉耐性が不完全なため、あるオピオイドで耐性を獲得し鎮痛効果が低下したとしても、別のオピオイドが効果を示す可能性がある。そのため、オピオイドを変更する場合には計算上は等力価になっていても、効果が強くでる場合がある。
換算量が同じだからといって同じ効果が得られる訳ではないのである。この量は、あくまでも目安と考え、効果と副作用を注意深く観察しながら、細かく調節することが必要である。特に切り換える前のオピオイドの投与量が大きい場合は、換算量よりも少なめの量で切り換えて、その後増量することがすすめられる。
(医療用麻薬適正使用ガイダンスによると、比較的高用量の例として、モルヒネで1日120mg以上を挙げている。)
特に、患者さんの状態が良くない場合、高齢者の場合は少量から変更する。
また、数回に分けて、変更する方法もある。

オピオイドを変更したことで副作用の発現状況が変わることがある。
たとえば、モルヒネからフェンタニルに変更した場合、便秘が軽減されることが多い。
そのため、併用している便秘薬の減量を忘れないようにしたい。

また、オピオイドスイッチングで注意したいのは、変更後の最初の服用である。
投与しているオピオイドと変更するオピオイドの半減期や効果持続時間を考慮しないと、効果が重なり副作用が出やすくなったり、痛みを抑える効果が途切れたりする可能性があるからだ。
オピオイドを変更する処方の場合、最初の服用を必ず確認しておく。

ヒドロモルフォン、オキシコドン、フェンタニルからモルヒネに変更する場合は、患者の腎機能障害に注意する。
もちろん、副作用の危険性を考慮してである。

※ご参考
ガイドライン P.54-55 国内で利用可能なオピオイドとその特徴
日本で使用可能なオピオイドの一覧表である。
効果が不十分なとき、患者さんの病態が変化したとき、服用上の問題が発生したときなどオピオイドを変更する際に必要な資料。
一覧表では、「一般名」「商品名」「剤型」「投与経路」「投与間隔」「放出機構」「最高血中濃度到達時間」「半減期」「特徴」が確認できる。候補薬の選定に、とても重宝する資料である。

[オピオイドの副作用]
オピオイドでは、副作用の説明は非常に難しい。
副作用の種類が多く、発生頻度も高いものが多いからである。
ただし、副作用の事前の説明と適切な処置で対応可能のものが多いのも事実である。
患者さんの中には、医療用麻薬を誤解しており、説明は受けたものの恐る恐る服用している患者さんもいるはずである。このような患者さんに副作用が発生した場合、アドヒアランスに与える影響は大きい。
副作用の説明は、慎重に対応するためにも、主な副作用のポイントを押さえておきたい。

・悪心・嘔吐
オピオイドの悪心・嘔吐は、投与初期と増量時に発現することが多い。持続する悪心は数日~1週間で耐性が生じ、消失することが多いことは知っておきたい。
悪心が生じやすい患者以外は、制吐剤の予防投与は原則行わない。

薬物治療の第一選択は、抗ヒスタミン剤(トラベルミンなど)かドパミン受容体拮抗剤(プロクロルペラジンなど)。
ドパミン受容体拮抗剤を使用する場合には、副作用の錐体外路症状に注意し、使用期間はできるだけ短期間にする。

・便秘
オピオイドによる便秘は、オピオイド誘発性便秘 OIC(opioid-induced constipation)とよばれる。(以下、オピオイド誘発性便秘をOICと表記)
OICはオピオイドを投与された患者にほぼ必発する副作用であり、悪心・嘔吐と異なり、耐性形成はほとんど起こらない。
つまり、下剤が必要なケースでは継続的な処方が必要になることを覚えておきたい。
OICは、オピオイドの種類によって頻度や程度が異なる。
OICの薬物治療については、便秘の新規治療薬が上市され選択肢が多くなっており、OICに保険適応のあるナルデメジンも登場している。

・眠気
オピオイドによる眠気は、投与開始初期や増量時に出現することが多いが、耐性が生じるため、数日以内に軽減ないし消失することが多い。
薬剤師は、相互作用の原因になる併用薬物や、眠気の副作用がある併用薬(抗精神病薬、睡眠剤など)による眠気を除外する。
モルヒネの場合には、腎機能低下を確認する。
患者の状況に応じて、オピオイドの減量、オピオイドスイッチング等で対応する。

・せん妄・幻覚
がん患者においては、さまざまな要因でせん妄などの認知機能障害が出現する可能性がある。
オピオイドによる幻覚、せん妄は、投与開始初期や増量時に出現することが多い。
オピオイドを含む薬剤性のせん妄は、原因薬剤の投与中止により1週間以内に改善するケースがほとんどである。
オピオイド以外の原因薬剤として、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、抗コリン薬に注意する。薬剤以外の原因としては、電解質異常、中枢神経系の病変、感染症、肝・腎機能障害、低酸素症などが関与していることがある。
薬物療法としては抗精神病薬やベンゾジアゼピン系薬を検討する。
その他、せん妄を生じている患者が安心できる環境の調節を行うことも重要である。

・呼吸抑制
一般的にはがん疼痛を目的としてオピオイドを適切に投与されている場合は、呼吸抑制が生じる可能性はまれである。ただし、オピオイドの急速静注による血中濃度を急激に上昇させた場合や過量投与されたケースでは充分な注意が必要である。
ちなみにオピオイドは「重篤な呼吸抑制」「気管支喘息」は、禁忌か慎重投与になっている。
症状が重篤な場合には、オピオイド拮抗薬であるナロキソンを投与する。ナロキソンは、作用持続時間は約30分なので、症状を考慮して30~60分ごとに投与する必要がある。投与の際には、痛みの悪化、興奮、せん妄の可能性を考え、少量(1回量0.04~0.08mg)から投与する。

・口内乾燥
オピオイドは、用量依存的に外分泌腺を抑制する。
押さえておきたいのは、進行がんの患者の口内乾燥の発生頻度は30~97%と頻度が非常に高いこと。背景には「唾液分泌の減少(頭頸部への放射線照射、三環系抗うつ薬、抗コリン薬など)」「口腔粘膜の障害(化学療法や放射線治療による口内炎、口腔カンジタ症など)」「脱水」などが考えられている。

可能であれば原因薬剤の減量や変更を行うが、その他に水分や氷の摂取、部屋の加湿、人工唾液・口腔内保湿剤の使用がある。
唾液分泌能が残っている場合は、キシリトールガムを噛むなど、唾液腺の分泌促進を試みる。

・掻痒感
オピオイドの硬膜外投与やくも膜下投与では、他の投与経路に比べて高率に掻痒感が認められる。
可能であれば投与経路の変更、オピオイドスイッチングを検討する。
外用剤としては亜鉛華軟膏、サリチル酸軟膏や0.25~2%のメントールの混合製剤が有効とされている。
擦過による皮膚障害が強い場合は、弱から中等度のコルチコステロイドの外用を考慮する。強コルチコステロイドの使用は、皮膚の委縮や二次感染の危険があるため、短期間の使用にとどめる。

・排尿障害
オピオイドは、尿管の緊張や収縮を増加させることがある。
尿閉にいたる場合もあるため、排尿障害が出たときには、注意して経過観察する。
薬物療法としては、α1ブロッカーやコリン作動薬が投与されることがある。

・ミオクローヌス
ミオクローヌスとは、1つあるいは複数の筋肉が短時間に不随意に収縮するもの(四肢がピクッとするなど)である。
薬物療法としては、クロナゼパム、ミダゾラムなどが有効な場合がある。

・セロトニン症候群
セロトニン症候群とは、セロトニン再取り込み阻害作用により、錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射亢進、ミオクローヌス、下痢などの症状を生じる。
トラマドール、タペンタドール、フェンタニル、メサドンは、三環系抗うつ薬やSSRIとの併用注意になっている。
症状に応じてベンゾジアゼピン系抗不安薬を投与する。

・心血管系
メサドンの使用により、QT延長や心室頻拍が発現することがある。
メサドン投与中は、定期的な心電図・電解質検査を行う。

[オピオイドの薬物相互作用]
・併用時に「呼吸抑制」「めまい」「低血圧」「鎮静」に注意するべき薬剤
 (併用することによって、相加的に中枢抑制作用が増強されるため)

  中枢神経抑制薬:フェノチアジン誘導体、バルビツール誘導体、ベンゾジアゼピン系薬剤
  吸入麻酔薬
  MAO阻害薬:モノアミン酸化酵素阻害薬
  三環系抗うつ薬
  β-ブロッカー
  アルコール
  抗ヒスタミン薬

・併用時に「重篤な便秘」「尿閉」に注意するべき薬剤
 
  抗コリン作用薬

・併用時に「鎮痛効果の減弱」「離脱症候」に注意するべき薬剤

  ペンタゾシン(麻薬拮抗性鎮痛薬)
  ※原則として両者は併用すべきではない。

・タペンタドールとの併用禁忌
 併用によって相加的に作用が増強し、心血管系副作用が増強される可能性があるため。
 
  MAO阻害薬:セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩
  ※他のオピオイドは併用注意
 
・オキシコドンとプレガバリンの併用
 相加的な作用による認知機能障害および粗大運動機能障害が報告されている。

・併用時に代謝の影響により効果の増強または減弱に注意するべき薬剤
 ※オキシコドン、フェンタニル、メサドンは主に肝臓の薬物代謝酵素CYP3A4により代謝される。
 
  CYP3A4を阻害する薬剤
  (リトナビル、アミオダロン、クラリ スロマイシン、ジルチアゼム、フルボキサミン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾールなど)
  これらを併用すると、オピオイドの代謝が阻害され、血中濃度が上昇し、作用が増強される可能性がある。

  CYP3A4を誘導する薬剤
  (リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトインなど)
  これらを併用すると、オピオイドの代謝が誘導され、血中濃度が低下し、作用が減弱する可能性がある。

・薬物相互作用に特に注意を要するメサドン
 メサドンは、抗HIV薬、炭酸水素ナトリウム、抗不整脈、抗精神病薬、アナグレリド、オシメルチニブ、クリゾチニブ、スニチニブ、セリチニブ、ダサチニブ、 トレミフェン、ニロチニブ、パノビノスタット、パゾパニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、レンバチニブ、ロミデプシン、ロルラチニブ、三酸化ヒ素 な どのQT延長を引き起こすことが知られている可能性がある薬剤との併用により、相加的にQT延長作用を増強させ、不整脈を誘発する可能性がある。
 
 利尿剤、副腎皮質ステロイドなどの低カリウム血症を起こす薬剤との併用により、カリウム低下による不整脈を誘発する可能性がある。

・トラマドールとタペンタドールの相互作用
 トラマドールはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を、タペンタドールはノルアドレナリン再取り込み阻害作用(弱いながらもセロトニン 再取り込み阻害作用も有している)を有しているため、抗うつ薬との併用でセロトニン症候群のリスクが上昇する可能性がある。

[NSAIDsの薬物相互作用]
NSAIDsの大部分は血液中で血漿蛋白と結合した状態で存在している。ゆえに、蛋白結合率の高い薬物とNSAIDsを併用すると、蛋白結合部分で競合的に拮抗し、遊離型が増え、作用が増強する可能性がある。
また、NSAIDsの大部分は肝臓で代謝されるため、同じ酵素で代謝を受ける薬剤と併用すると、競合的に拮抗し、作用が増強されることがある。

・併用時に作用増強に注意すべき薬剤
  ワルファリン
  メトトレキサート
  SU薬
  ペメトレキセド(腎排泄遅延)
 
・併用時に作用減弱に注意すべき薬剤
  ACE阻害剤
  アンジオテンシンⅡ阻害剤
  ループ・サイアザイド系利尿薬
  抗血小板薬/抗凝血薬

・併用により痙攣を誘発する可能性がある薬剤
  ニューキノロン系

・併用により出血傾向に注意すべき薬剤
  SSRI

[オピオイドの依存]
慢性炎症性疼痛下では、モルヒネの精神依存形成は抑制されていると考えてよい。
臨床では、がん患者の痛みに対してオピオイドを長期間使用しても、精神依存は非常にまれである。

注意するべきケースは、がん治療によりがんが寛解したがんサバイバーや非がん性慢性疼痛を訴えるがん患者に対して、治療目標もなく漫然とオピオイドを使用している場合である。一方、痛みや炎症が長引き、慢性化することにより、もともとの痛みや炎症の原因が消失しても脳の働きだけで痛みが生じている可能性も注意すべきである。

身体依存は、長期間薬物に曝露されることによって生じる生体の適応状態であり、オピオイドに限らずに生じるが、薬物を中止した場合に特徴的な離脱症候群が生じるかどうかで判断される。
ちなみに、オピオイドの離脱症候は、自律神経症状(下痢、鼻漏、発汗、身ぶるいなど)と中枢神経症状が起こると言われている。
身体依存を形成する薬物は、オピオイドの他にバルビツール酸、アルコールがあるが、ニコチンも弱い身体依存を形成する。
オピオイドの身体依存は、がん疼痛下でオピオイドが継続投与される限りは問題にならない。臨床上問題となるのは、経口接収ができなくなるなど急に減量・中止した場合である。
また、オピオイドスイッチングで一度に他のオピオイドに変更した場合に注意が必要である。例えば、経口モルヒネ徐放性製剤からフェンタニル貼付剤にスイッチした場合、一時的な下痢を生じることがある。これは、モルヒネの身体依存に伴う離脱症候と考えられる。
離脱症候の予防としては、急にオピオイドを減量せず、徐々に減量していくことである。

・オピオイドの耐性について
オピオイドにより耐性が形成されるのは「悪心・嘔吐」「眠気」、耐性が形成されないのは「便秘」「縮瞳」であることは覚えておきたい。
臨床でオピオイドの鎮痛耐性が問題になることは少ないが、オピオイドの増量とともに「NSAIDs」「放射線治療」「神経ブロック」「鎮痛補助薬」「非薬物的手段」などの併用を考慮する。

[患者のオピオイドへの認識]
初めてオピオイドを服用される患者さんには、「麻薬」についての誤解を解き、安全性について正確に理解いただくことが大切である。
「麻薬」に関する誤解の中でも、最も強いのは「中毒」と「寿命を縮める」であろう。
日本における一般市民を対象とした調査では、オピオイドに関して、約30%が「モルヒネは中毒になる」「モルヒネは寿命を縮める」という印象をもっているという報告がある。
また、がん対策に関する世論調査では、オピオイドに対する印象を約30%が「最後の手段だと思う」「だんだん効かなくなると思う」、約10%が「寿命を縮めると思う」「精神的におかしくなると思う」と誤解していた。一方で、約50%からは「正しくは使用すればがんの痛みに効果的だと思う」「正しく使用すれば安全だと思う」という理解を得られている。
がん患者のオピオイドの認識について、米国の終末期がん患者を対象とした調査では、約半数が中等度以上の強い痛みを体験していたが、痛みの治療をさらに求めていたのは約30%にすぎなかった。その理由は、「麻薬中毒の心配」が約40%、「オピオイドの副作用の心配」が約30%であった。
日本において、転移・再発後の外来通院中のがん患者を対象とした調査では、約70%が「ほとんどのがんの痛みはオピオイドで和らげることができる」と認識していた。一方で、患者の約30%が「オピオイドは中毒性がある」「寿命を縮める」と認識しており、男性患者のほうがオピオイドに対する誤解をもっていた。
緩和ケア病棟の入院中にオピオイドを開始した終末期がん患者では、オピオイドに関して約40%に「精神症状の副作用がある」「寿命を縮める」「麻薬中毒」という心配があり、オピオイドを開始するかどうかの意思決定には心配の数が関係するといわれている。

・「オピオイドを使用すると麻薬中毒になる」「オピオイドを使用すると寿命が縮まる」
がん疼痛に対してオピオイドを使用した場合に精神依存が生じることはまれである。
また、オピオイドの使用が生命予後を短縮するという根拠はない。

オピオイドの導入時には、オピオイドの薬効や副作用のわかりやすい説明、患者や家族がオピオイドに持っているイメージの確認が重要である。
上記のような誤解したイメージを持っている場合には、患者や家族の思いや背景を十分に把握したうえで、「オピオイドを飲みはじめても具合が悪ければ相談してやめてもよいこと」「痛みが軽減すれば用量を減らし、終了することもあること」を伝える。
痛みの除去とともに生活や行動の範囲が広がるメリットを説明することもQOLを高める目的として大切である。

 

[最後に]
オピオイドの服薬指導の主な目的は、
・患者さんの抱えている誤解や懸念を解消し、アドヒアランスを高めること。
・痛みや副作用に対する適切な対処法を理解いただくこと。
・服薬指導時に得た薬物療法上の問題点などを多職種で共有し、その後の疼痛マネジメントに活かすこと。
であり、これらを通じて患者さんの痛みの軽減とQOL向上に寄与することを目指す。

服薬指導の前提となるのは、患者さんとの良好なコミュニケーションである。
その上で、「痛み」とオピオイドに関する正しい知識を解説する。
具体的な服薬指導の構成は、疼痛の治療計画を話した後、「オピオイドの使用方法」「主な副作用とその対策」「在宅における医療用麻薬の管理」について説明する。
(なお、オピオイドの服薬指導については「⑤オピオイドの服薬指導」で考察する。)

以上、ガイドラインから薬剤師にとって特に重要と思われるポイントを整理した。
次のコンテンツは、「④オピオイドを調剤するということ」でオピオイドの使い方、発注、在庫、廃棄などを考察する。

以上